イギリスの大学で英文学を専攻していた時に知った事。
大教室で教壇から教授が深刻に生徒に呼びかけました。
「大学レベルで、まだこんな初歩的な文法の間違いをしている生徒が沢山いる。
恥ずかしい事です、十分気をつけるように。」
この頃、学部生レベルで何百人もいる学生に留学生はたったの数人。
つまり、ほとんどがイギリス人でした。
その間違いとは、
「its」と「it's」
「your」と「you're」
「their」と「they're」と「there」
を混乱して使っていると言う。
英語が母国語ではない私にとって、とても驚きでした。
所有格と主格の違い、どうやったら間違えるのだろう??!!と。
それ以来、これは、英語世界では最もありがちな間違いとして話題になっているのを
色々な場面で目にする機会が多々ありましたが、何十年英語で生活していても、
私は一度たりとも、こんなミスをする事はありません(でした)。
ところが、先日、息子が持ち帰った学校のプリントに目を通していると、
息子がこの間違いをしているのを発見してしまったのでした。驚愕!の思いでした。
そして、このことが、「どうしてこんな間違いをするのか」を考える機会になり、
息子の成長、発達を振り返る事でやっと理解することが出来た気がします。
まず、幼い子供の発達過程を考えると、赤ちゃんはおおよそ2歳前後に話しだします。
早くて1歳、遅くても3、4歳で言葉が話せるようになりますが、
この時点では、もちろん読み書きは一切出来ません。
その後、読み書き(literacy)が出来るようになるのは5、6歳。早くて4歳。
ひらがなのように、一音一字に対応している日本語は「あいうえお」を覚えてしまえば、
文字が読めるようになるので、もうちょっと早いかもしれませんが、
英語はabc(エービーシー)を覚えても、文章を読めるようになるわけではありません。
次の段階で、Phonics を学び、スペリングの勉強に入るので、
文字が書けるようになってからも、実際に読み書きができるようになるまで、
まだ少し時間がかかります。
ということは、文字と向かい合う事無しに、口語のみの期間が2、3年あるわけです。
「それは〜」のit'sと「それの」のitsは全く同じ発音でありながら、スペルが違う
同音異義語、だとは知る由もなく、毎日使い続けているのです。そして、
ある年齢になって初めて、これは実は違う綴りなのです、と教えられるのですが、
突然そんなことを言われても、それに慣れるまで、時間がかかったり、また
しっかりと使い分けする事なく、育ってしまうのではないか、と思うのです。
同音異義語の多い日本語では、これは、むしろ珍しい話ではありません。
例えば、「対象」「対照」「対照」。「暖かい」「温かい」「暑い」「熱い」など。
こういう所で、特に英語ではliteracy level(読み書きレベル)が測られるわけです。
あれ?「測られる?」「計られる?」「量られる?」「図られる?」「諮られる?」(笑)