母に付き添われ産婦人科に行った私。


受付の窓口で「中絶の手術を希望します」と母が言った。

私はロビーで逃げ出したい気持ちで一杯だった。


ロビーで待ってる人達は妊婦ばかり。

みんな幸せそうな顔をしている。


私は?

私は悪阻も始まり死にそうな顔をしていた。


診察室に呼ばれた私は母と一緒に診察室に入って行った。


まずは問診、そして内診。それから尿検査の結果。

妊娠してるのは間違いない。


先生:「うん・・・妊娠反応は出ていますね~」


そしてベッドに仰向けで寝て下さいと言われ

私は言われるがままにお腹を出してベッドに仰向けになった。


すると先生がエコーで検査を始めた。

もちろん母もそのエコーを見ている。


私のお腹の上にジェルを垂らし機械をすべらせながら先生が説明を始める。


先生:「これが子宮ね、ピーナッツのような形してるのわかる?これが赤ちゃんだよ。おめでとうございます。」


私:「えっ!? 」 焦る私。 

中絶の手術をするって言ってるのになんで赤ちゃんの姿を見せるの?

なんでおめでとうございますなの?と戸惑う私。


なのに説明を続ける先生。

先生:「こっちが頭でこっちが胴体。まだ二等分の形だけどここに手があるのわかる?」


そこで母が「あの~先生。中絶の・・・」


と、言ったその時! お腹の中の赤ちゃんがグニュグニュ動き出した。

ハッキリと動く姿がエコーに移ってる。


先生:「おお!元気が良い子だなぁ~。こんなに元気良く動く姿が見れるのも滅多にない事ですよ」


次の瞬間、私は

「ごめんママ・・・」 そう言って涙があふれた。


母は黙っていた。


診察室から出た私は泣きながら母に言った。


私:「ママ・・・ごめんんさい。私生むゎ・・・・」


母は戸惑いながらも中絶するように私を説得していた。


私はそんな母を振り切り受付の窓口で母子手帳をもらう手続きについて聞いていた。


後ろで母は看護婦さんに「受付時に中絶するって伝えていたでしょう。なんで?なんで赤ちゃんを見せたのと戸惑っていた。


確かに中絶するって母は言っていた。

しかし、先生が親子で来ている姿を見て、うっかりおめでたい話だと勘違いをしていたのだった。


先生勘違いしてくれてありがとうと私は心で思った。


私は反対する母の手を振り払い、「ごめん・・・ごめんなさい。もう生むって決めたから。誰にも迷惑はかけないから」

と、言い残し病院を飛び出したのである。


そして病院を飛び出て向かった先が役所だった。

私は母子手帳を受け取り自分が母になる喜びを感じていたのであった。