NHKが台風19号接近のさなか台風情報に安倍政権PR紛れ込ませ! 高市早苗総務相の無内容な災害対策会議を強引に報道
LITERA 2019.10.13
LITERA 2019.10.13
首相官邸ホームページより
観測史上最大級と言われる台風19号。被害の拡大が心配されるが、そんな中、この台風報道で災害情報周知の要として存在感を発揮しているNHK。とくに12日午後からは全国各地の災害状況や避難情報について、民放とは一線を画すきめ細かい災害報道をしていた。しかし一方で、気になる報道があった。
台風が東海、関東に迫ろうとしていた12日、NHKは朝から通常番組を中止して台風情報を放送していた。各地の中継や今後の被害予測、ライフライン情報などを知ろうと、チャンネルを合わせた視聴者も多かったはずだ。
ところが、12日午前中から昼にかけ、NHKが台風情報と同じくらい繰り返し放送していたのが安倍政権のPRだったのだ。
台風15号の際、関係閣僚会議を開かず、初動対応の遅れが被害の拡大を招いたことを批判された安倍政権は今回、11日に関係閣僚会議を開き、その後、安倍首相や菅義偉官房長官、関係省庁の閣僚が相次いでメッセージを出すなど、「台風対策やってる」ポーズをやたら強調していた。
中身は「国民の皆様への迅速かつ分かりやすい情報発信を徹底する」とか「自治体や関係機関・事業者と緊密に連携しながら対策を講じる」といったなんの具体性もないものだったが、NHKはその安倍首相の談話発表の映像、菅官房長官の会見の模様をかなり長い時間をかけて紹介。さらに、なぜか高市早苗総務相が総務省の幹部を集め、災害関係局長級会議を開いたことを報じたのだ。しかも、高市総務相の談話まで映像つきで流す始末だった。
高市 早苗(たかいち さなえ)
1961年3月7日(58歳)
奈良県
神戸大学経営学部経営学科
前職:近畿大学経済学部教授
総務大臣
内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度担当)
所属政党:
(無所属→)
(自由党・自由改革連合→)
(新進党→)
(無所属→)
自由民主党(細田派→無派閥)
衆議院議員(8期)
1984年に松下政経塾に入塾(第5期生)。
2016年2月8日、衆議院予算委員会において、「放送局が〝政治的に公平であること〞と定めた放送法第4条第1項に違反した放送が行われた場合に、その放送事業者に対し、放送法第174条の業務停止命令や電波法第76条の無線局の運用停止命令に関する規定が適用される可能性があるのか」との野党議員からの質問に対して、高市は放送法の違反を繰り返した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性について、「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり可能性が全くないとは言えない」と述べた。この発言に対し田原総一朗ら7人が呼びかけ人となって、発言が憲法及び放送法の精神に反しているとする抗議声明を出した。
高市早苗の「電波停止」発言を受けて行われた各社の世論調査では、国民の多くがこの発言を問題視していることが明らかとなった。
1961年3月7日(58歳)
奈良県
神戸大学経営学部経営学科
前職:近畿大学経済学部教授
総務大臣
内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度担当)
所属政党:
(無所属→)
(自由党・自由改革連合→)
(新進党→)
(無所属→)
自由民主党(細田派→無派閥)
衆議院議員(8期)
1984年に松下政経塾に入塾(第5期生)。
2016年2月8日、衆議院予算委員会において、「放送局が〝政治的に公平であること〞と定めた放送法第4条第1項に違反した放送が行われた場合に、その放送事業者に対し、放送法第174条の業務停止命令や電波法第76条の無線局の運用停止命令に関する規定が適用される可能性があるのか」との野党議員からの質問に対して、高市は放送法の違反を繰り返した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性について、「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり可能性が全くないとは言えない」と述べた。この発言に対し田原総一朗ら7人が呼びかけ人となって、発言が憲法及び放送法の精神に反しているとする抗議声明を出した。
高市早苗の「電波停止」発言を受けて行われた各社の世論調査では、国民の多くがこの発言を問題視していることが明らかとなった。
まあ、それでも、安倍首相と菅官房長官については、台風対策の責任者である行政のナンバー1とナンバー2だから放送時間を割くのは当たり前、という反論もあるだろう(台風情報を少しでも知りたいときに、あんな中身のない談話や会見を本人の映像付きで繰り返し長々と報道する必要があったかどうかは疑問も残るが)。
しかし、総務省の動きと高市総務相のメッセージを大きく取り上げたのは、明らかに異常だ。総務省は台風対策のメインの役所ではないし、会議の中身も「各地で発生する被害状況の把握や自治体からの支援要請などに対応する」などというだけで、ほとんど実体はなかった。高市総務相の挨拶も「情報を収集し、迅速に分かりやすい情報発信に努めてほしい」と、何が趣旨なのかさっぱりわからないものだった。実際、11日、この総務省の災害関係局長級会議について報じたメディアは安倍政権御用新聞の産経だけだった。
にもかかわらず、NHKは台風が接近する12日になって、貴重な台風報道の最中に、こんな高市総務相のPRとしか思えない情報を流したのである。その裏側について、全国紙政治部記者が語る。
「高市さんは台風対策を自分のPRに利用しようとやたら入れ込んでいて、担当の役所でもないのに自分を長として災害関係局長を設置。総務省は高市さんの命令なのか、その存在をメディアに報道させようと躍起になっていた。でも、取り上げたのは産経くらい。それで、総務省が所管のNHKにねじ込んだのではないでしょうか。NHKはかんぽ生命保険の不正販売追及報道で、総務省事務次官出身の日本郵政幹部に“暴力団”呼ばわりされたばかりで、睨まれてますからね」
■赤坂自民亭の後には、安倍首相の名前を連呼し、イメージ回復に全面協力したNHK
NHKの政治報道については、以前から、安倍政権への露骨な忖度が指摘されていた。国会報道では野党の追及や安倍首相の醜態については映像を流さず、安倍首相の政府答弁で終わらせるなどの“大本営編集”も行なっている。
また、災害報道では、西日本豪雨の真っ只中に「赤坂自民亭」で酒盛りに興じ大きな批判を浴びたあと、安倍首相の災害対応アピールを積極的にバックアップしまくっていた。
たとえば、昨年9月の北海道地震や台風21号の後、NHKはこんな見出しのニュースを連発した。
〈“関西空港の復旧に全力 無電柱化進める考え”首相〉
〈安倍首相 北海道の停電 8日中にほぼ解消の見込み〉
〈首相 被災自治体からの要請待たず国が水や食糧など支援〉
〈北海道で地震 首相「応急的な住まいの確保早急に」〉
〈近畿地方で停電続く 首相「復旧作業を一層加速」〉
〈首相 地震の被害状況を視察 札幌〉
〈首相 土砂崩れ現場視察 北海道 厚真町〉
〈首相「死者42人 被災者支援に5億4000万円」〉
しかし、史上最強と言われる台風が迫っているこんな緊急時にまで、安倍政権に言われるがままPRに勤しむとは……。“安倍サマの犬HK”という揶揄が決してオーバーな表現でないことがよくわかるというものだ。
ただ、もっと問題なのは、まともに国民の命を守ろうともせず“やってるアピール”だけしようとしている安倍政権のほうだ。12日も安倍首相は公邸にこもりきりで災害対策本部すら設置していないが、週明けには安倍首相の中身のない“やってるアピール”が量産されるのだろう。
(編集部)
(編集部)
=== LITERA 記事(ここまで)===
2016年2月、高市早苗総務相は衆院予算委員会で“政治的に公平ではない放送をするなら電波を停止する”と言及。放送法を所管する立場から必要な対応は行うべきだ」と。
民主党の玉木雄一郎議員は「憲法9条改正に反対する内容を相当の時間にわたって放送した場合、電波停止になる可能性があるか」と質問し、高市総務相はこの問いかけに「1回の番組で電波停止はありえない」が「私が総務相のときに電波を停止することはないが、将来にわたって罰則規定を一切適用しないことまでは担保できない」と答えています。
高市総務相は、“憲法9条の改正に反対することは政治的に公平ではなく放送法に抵触する問題。電波停止もありえる”という認識を露わにしています。
現行憲法99条では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と規定されている。ようするに、政治家には現在の憲法を守る義務があり、「9条改正に反対することが政治的に公平ではない」などと言うことは明確な憲法違反発言といえます。
放送法とは本来、放送局を取リ締まる法律ではありません。むしろ、政府などの公権力が放送に圧力をかけないように定めた法律です。
放送法は第1条で「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」と定めています。これは、政府に対して表現の自由の保障を求め、政治権力の介入を防ぐために規定されているものです。
放送法4条には、放送事業者に対して〈政治的に公平であること〉を求める規定がありますが、この4条は政府が放送内容に対して介入することを許すというものではありません。
第4条は放送局が自らを律するための自主的な規定にすぎず、これをもって総務省ほか公権力が放送に口を挟むことはできません。むしろ第4条を根拠に公権力が個々の番組に介入することは、第1条によって禁じられていると考えるのが妥当といえます。
放送法第1条
(目的)
第一条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。