安倍首相の「野党は年金不安煽るだけ」デマに騙されるな! 野党は対案提示も無視し、共産党・小池晃には逆ギレ
LITERA 2019.07.15
 
首相官邸HPより
 
 ついに投開票が1週間後にまで迫った参院選。本サイトでは2回にわたって、安倍首相がこの選挙戦で誇示しているデータや数字がいかにデタラメなものであるかをお伝えしてきたが(前編https://lite-ra.com/2019/07/post-4832.html、後編https://lite-ra.com/2019/07/post-4833.html)、安倍首相の街頭演説のなかでも、とくに度肝を抜かれたのは、この嘘だ。
「この選挙、年金問題も大きな議論であります。野党は財源の裏打ちのある具体的な議論をせずに、不安ばっかり煽っている。残念です」

 いやいや、参院決算委員会や党首討論でも、野党は財源案も出して年金の見直しについて安倍首相に提案をさんざんおこなってきた。そもそも、年金2000万円問題のきっかけは金融庁の報告書案であって、それを「受け取らない」などとないことのような態度に出て国民の不安を煽りに煽ったのは安倍政権だ。そのトップが、党首討論や国会で野党に対案を突きつけられたことも完全無視して「具体的な議論なし」「残念です」と国民に平然と嘘をつくとは──。
 この嘘ひとつだけでも、到底信用ならないことがよくわかるかと思うが、いまこそ強調したいのは、この安倍首相が無視している野党の「対案」こそ、今回の選挙の最大の争点と言えるものだということだ。
 それは、安倍首相が率先してきた大企業・富裕層の優遇をやめる、という税の見直しだ。
 まずひとつ目は、金融所得課税だ。所得税は年収が高くなるほど税率も上がる累進税率になっているが、株式の配当や売却益といった金融所得は累進課税を免れており、住民税を含めると所得税が最高55%の税率であるのに対し、金融所得は一律20%でしかない。しかも、高所得者ほど金融所得の割合が多いため、所得税の負担率は年収1億円を超えると右肩下がりになっている。
 たとえば、2020年から年収850万円超の会社員は所得税が増税されるが、それによって見込まれる増収は約900億円。対して、金融所得課税を現在の20%から25%に引き上げた場合は、増収は財務省の試算でも2500億円で、数千億~1兆円の増収になるとの試算もある(中日新聞2007年12月12日付)。
 低所得者であるほど負担が重くなる逆進性の高い消費税を増税するならば、この不公平極まりない優遇を真っ先に見直すべきだが、しかし、安倍首相は金融所得への課税の増税を見送った。
 そして、もうひとつは法人税。第二次安倍政権の発足以降、アベノミクスの成長戦略として法人税率はどんどん引き下げられ、法人実効税率は37%から2018年度には29.74%にまで減少している。
 しかも、実質的に企業が負担する法人税率も、2016年度のデータでは資本金1億円以下の小規模企業の負担率は18.1%である一方、資本金100億円超の大企業は12.4%で、連結納税法人はわずか5.2%。資本金10億円超の企業と連結納税法人を合わせた大企業全体だと10.4%になったという(しんぶん赤旗2018年4月20日付)。なぜこのように大企業の法人税負担率が低くなっているかといえば、大企業のために莫大な数の租税特別措置が設けられているからだ。こうした法人税減税の一方で、大企業の内部留保は6年連続で過去最高を更新し続け昨年は446兆円を記録している。
 富裕層や大企業を優遇し、その分を消費税によって庶民に肩代わりさせる──。これが、安倍首相がやってきたことなのだ。
 
■国会で共産党・小池晃に対案を突きつけられた安倍首相は…
 
 にもかかわらず、安倍首相は日本記者クラブでの党首討論会で、こんなことを言い出した。
「安倍政権においてですね、消費税率をこれ以上引き上げることは、まったく考えておりません」
 こう言われると「これ以上は上げないと言っているし、10%への引き上げも仕方がないか」と思う人もいるだろう。だが、騙されてはいけない。そもそも安倍首相は総裁任期を延長しつづけており、一体いつまでのさばるつもりなのか未知数な上、法人税率の引き下げなどで安倍首相が言いなりになってきた経団連は、昨年4月に政府への提言として公表した「わが国財政の健全化に向けた基本的考え方」のなかで〈税率10%超への消費増税〉を提唱。ちなみに、2015年の提言「『豊かで活力ある日本』の再生」では、経団連は消費税率10%台後半への引き上げを政府に求めている。
 賃金は上がらず、消費増税で生活はさらに苦しくなり、その上、老後は自助でどうにかしろと迫るのに、大企業や富裕層を優遇しつづける安倍政権。──そんななか、これに「NO!」を叩きつけているのが野党だ。
 安倍政権と対峙する野党は、こうした優遇税制と庶民への痛みの押し付けを批判し、今回の参院選で税制の見直しを打ち出している
 たとえば、立憲民主党は、選挙公約で〈消費税率10%への引き上げは凍結〉〈金融所得課税や法人税などを見直し、税の累進制を強化して公平な税制へ転換〉と明記。
 共産党は消費増税の中止はもちろん、さらに具体的な財源提案をおこなっており、「大企業優遇税制の見直し」で4兆円「法人税率引き下げをやめ、中小企業を除いて安倍政権以前の水準に戻す」ことで2.5兆円「富裕層への証券課税の強化」で1.2兆円「富裕層の各種控除の見直しなど」で1.9兆円など、合計で17.5兆円の当面の財源確保案を提示し、同時に「マクロ経済スライド」の中止も訴えている。
 また、山本太郎氏が立ち上げた「れいわ新選組」は消費税廃止を訴え、法人税に累進性を導入することを公約に謳っている。
 しかし、こうした野党の提案を安倍首相は無視。6月10日の参院決算員会では、マクロ経済スライドと富裕層・大企業優遇税制の見直しを迫った共産党・小池晃議員に対し、安倍首相はこう言って一蹴した。
「まったく馬鹿げた政策なんだろうと、こう言わざるを得ない。間違った政策だと思いますよ、それは」
 ようするに、安倍首相は「野党は財源の裏打ちのある具体的な議論をせずに、不安ばっかり煽っている」と言うが、実際には「議論をせずに不安を煽っている」のは、安倍首相のほうなのである。
 そして、馬鹿げているのは、現実には国民の多くを苦しい生活に追い込んでいる政策をあらためるでもなくありもしない成果を謳い、「年金は増やせる」などと無責任に言い放っている安倍首相のほうなのではないか。
 だからこそ、繰り返したい。今回の選挙の争点は「憲法改正」などではなく「わたしたちの生活」であり、消費税の増税中止・廃止、大企業・富裕層の優遇税制を見直すと公約で掲げる野党か、それともそれを「馬鹿げた案」だと言い、経済悪化のなかで消費増税を決行しようとしている与党か、どちらを選ぶかという選挙なのだ。
(編集部)
 
=== LITERA 記事(ここまで)===
 
 安倍晋三首相が自信たっぷりに大嘘を言っているのに信じてしまう国民が多いことはとても残念です。
 
【憲法第十二条】
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
 
 何もせず、何も言わず、不正に立ち向かわず、抑圧に抗議せず、それで自分たちにとって良い社会、良い暮らしを求めることは不可能です。(ネルソン・マンデラ)
 
 
 
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