年金積立金の資産運用で14兆円の損失か! 株価上げるため国民の年金でリスキーな株投資をはじめた安倍政権の責任
LITERA 2019.01.30
 

首相官邸HPより
 
「できるかぎり速やかに、簡便な方法で支払う」──。「毎月勤労統計」の不正調査問題を受けて、28日の施政方針演説でそう述べた安倍首相。国とって重要な基幹統計で不正調査がおこなわれ、約2000万人が雇用保険や労災保険などを560億円以上も過少給付されていたという重大問題に対し、「できるかぎり」という言葉はあまりにも無責任だ。
 だが、今週末にはさらに大きな問題が安倍政権を襲うことになりそうだ。とういうのも、2月1日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が発表する予定である公的年金積立金の2018年10~12月期の資産運用成績が、なんと14兆円を超える損失になるのではないかと指摘されているのだ。
 これは、5兆3000億円もの損失を出して問題となった2015年度を軽く超える大損失である。
 この背景には、昨年12月の大幅な日経平均株価の下落がある。クリスマスには1年3カ月ぶりに2万円を割り込み、月間の下落幅もリーマン・ショック直後の2008年10月以来の大きさとなった。しんぶん赤旗1月5日付け記事によれば、こうした動きなどを勘案して独自試算したところ、2018年10~12月期の資産運用は〈14兆円を超えるマイナスという結果〉になったという。また、「週刊ポスト」(小学館)2月1日号でも、資産運用評論家である近藤駿介氏が「評価損、実損を合わせて14兆円を超える損失となる可能性が高い」と述べている。
 実際に今週末に発表される数字が14兆円になるかどうかは不明だが、巨額の損失となる可能性は非常に高いと言っていいだろう。だとしたら、国民が老後のために捻出してきた年金を、安倍政権が一気に溶かしてしまったことになる。
 どうしてこんな危険な事態が起こるのか、あらためて整理しよう。GPIFは国民が積み立てた年金を資産運用し、その金額は130〜160兆円にものぼることから「世界最大の機関投資家」「クジラ」とも呼ばれる。だが、以前は国民の年金を減らしてしまう危険性を考え、株式などリスクのある投資を直接的にはほとんどしていなかった。
 しかし、第二次安倍政権になって株式への投資を全体の半分にまで増やした。ここにはGPIFに大量に株を買わせれば株価が上がり、景気が回復したという印象を与えることができるという安倍政権の計算があったと言われる。ようするに、国民の大事な年金を世論操作と政権維持に利用してきたのだ。
 その結果、前述したように2015年度には約5兆3000億円の運用損を出したのだが、このとき安倍首相は信じがたい行動に出た。例年、GPIFの前年度の運用成績は7月上旬に実施されていたが、2016年は7月10日に参院選があったため、巨額損失問題が投票に影響を及ぼすことを恐れた安倍政権は、公表を選挙後の7月29日まで遅らせるという姑息な手段を講じて事実を隠蔽したのだ。
 しかも、GPIFが5兆円の巨額損失を出しているという情報はすでに今年4月ごろから流れていたため、選挙戦のさなかに急に不安になったのか、安倍首相は自身の公式Facebookにこんな投稿をおこなったのである。
〈「株価下落により、年金積立金に5兆円の損失が発生しており、年金額が減る」といった、選挙目当てのデマが流されています。しかし、年金額が減るなどということは、ありえません〉(2016年6月27日)
 5兆円を超える損失を出していたことは明確な事実であったのに、その公表を遅らせ、その上、明らかな事実を“選挙目当てのデマ”だなどと平気で嘘を強弁してごまかす──。まさに安倍“偽装・隠蔽・改ざん”政権らしいやり口だ。
 しかも、安倍首相は5兆3000億円もの巨額損失を出したあと、2016年度に7兆9363億円、2017年度に10兆810億円の黒字に転じると、逆に成果を猛アピールしはじめた。
 
■安倍首相が「想定の利益が出なかったら当然年金給付に影響してくる」発言
 
 こうした安倍首相の「いい話」とメディアの宣伝に多くの国民は騙されているが、けっして忘れてはいけないのは、失敗した場合のツケは国民が払う、ということだ。
 実際、安倍首相はこう明言しているのである。
「基本的に、年金につきましては、年金の積立金を運用しているわけでございますので、想定の利益が出ないということになってくればそれは当然支払いに影響してくる」
「給付にたえるという状況にない場合は当然給付において調整するしか道がないということ」(2016年2月15日衆院予算委員会)
 そして、ここにきて、安倍政権のリスキーな投資が巨額の損失を生み出す可能性が高まってきた。
 黒字になれば自分の手柄にし、メディアも大々的にその成果を伝えるが、巨額の損失の穴を埋めるのは国民──。果たして、GPIFの2018年10~12月期の資産運用成績が発表されたとき、安倍首相はどう言い繕うのか。そして、その言い訳に、国民は騙されてはいけない。
(編集部)
 
=== LITERA 記事(ここまで)===
 
以下、文責:マリヤ・マグダレナ
 
 安倍政権は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を使って国民の大事な年金を世論操作と政権維持に利用しています。
 安倍政権になる前は、国民の年金を減らしてしまう危険性を考え、株式などリスクのある投資を直接的にはほとんどしていませんでした。ところが、第二次安倍政権になって株式への投資を全体の半分にまで増やしました。GPIFに大量に株を買わせれば株価が上がり、景気が回復したという印象を国民に与えることができるからです。国民の大事な年金を世論操作と政権維持に利用してきたのです。
 株式投資は博打みたいなもので、大きく上がることも、大きく下がることもあります。
 下がって損失を出したときは口を噤(つぐ)み、黒字になった時はその成果を自分の手柄として猛アピールしています。
 2018年10~12月期の資産運用成績が、14兆円を超える損失が予想されています。
 安倍首相は、こう明言しています。
「基本的に、年金につきましては、年金の積立金を運用しているわけでございますので、想定の利益が出ないということになってくればそれは当然支払いに影響してくる」
「給付にたえるという状況にない場合は当然給付において調整するしか道がないということ」(2016年2月15日衆院予算委員会)
 14兆円を超える損失を安倍首相はどう言い繕うのでしょう。
 安倍首相の言い訳に騙されてはいけません。失敗した場合のツケ、損失は国民が払うことになります。その損失は、安倍政権の世論操作と政権維持に利用したために発生したものです。アベノミクス偽装を構成する要素です。
 
 
年金積立金管理運用独立行政法人 wiki抜粋

年金積立金管理運用独立行政法人(ねんきんつみたてきんかんりうんようどくりつぎょうせいほうじん、英語: Government Pension Investment Fund, GPIF)は、厚生労働省所管の独立行政法人である。日本公的年金のうち、厚生年金国民年金の積立金の管理・運用を行っている(共済年金は対象外)[2]。運用は契約型の投資信託によっている。

従来、公的年金の積立金運用は、特殊法人である年金福祉事業団財政投融資に預託して行っていた[3]。しかし、第2次橋本内閣が進めた特殊法人改革によって2001年(平成13年)3月に同事業団は廃止され、日本国政府は年金資金の自主運用を求められることになった。そこで、2001年(平成13年)3月の同事業団廃止の直後、同年4月1日に年金資金運用基金へ改組された。2006年(平成18年)4月1日には、年金積立金管理運用独立行政法人が設立されて、同日付で廃止された同基金から年金積立金の管理・運用業務を引き継いだ。

 

日本株の運用

市場規模509兆円のうち、6%弱の日本株を保有している。三井住友、みずほ、三菱UFJの3大メガバンクやホンダなど、少なくとも日本企業の121社の筆頭株主であり、トヨタ自動車の発行済み株式数の5.5%を保有する第二位の大株主である。TOPIX 500のうち、約99%の495社で10位以内の大株主である。

また、日本の中央銀行である日本銀行は、2016年末までに日経平均株価225社のうち、55社で筆頭株主となっており、日本の株式市場における公的機関の存在感が増している。