松田聖子ちゃんの歌の歌詞みたい。
瑠璃色の地球、ね。
わたしね、今日この台詞を面と向かって言われたんですよ。しかも夫でもない男性から。
どう?読んでてちょっとドキドキした?思秋期に効きそう?
今日雨のなか電車に乗りました。
夫は色々あって休日出勤。
私が乗り込んだのはローカルもローカルな路線の大きくも小さくもない駅。
山に囲まれたのどかな路線です。
その男性は私より前にホームにたってました。
結構蒸し暑いのにコートを着て雨の中、なんというか所在なげにうつろな感じ。あ、違います。自殺をしそうとかそういうんじゃなくてなんていうのかな、途方にくれてる感じ。
年は50代くらい。もっと若いのかも知れないけどなんとなくくたびれた感じが年をわからなくしているみたいでした。
その男性が、まもなく電車が来る、ってところで後ろに並んでいた私に振り返って
「あの!」と切羽詰まった感じで話しかけてきました。
ちょっとビックリして、
「はい?」とわりとデカめの声が出た私。
「突然すみません。ホントにすみません。私、○○っていいます。すごく図々しいのはわかってます。でも…」
いやいや、なにこれ?詐欺?壺でも売り付けられる?水晶?お札?数珠?←発想が貧困
「あの、実は私、電車に乗るのが怖いんです。でもどうしても乗らないといけなくて。で、前の電車にはどうしても怖くて乗れなくて。お願いです。一緒に電車に乗っていただけませんか?そして苦しくなってしまったときお話しをさせて貰ってもいいですか?」
まあ、私もこの電車に乗るしね。助けになれるかわからないけど知らない人と話すのも苦ではない。(夫や長男に言わせると信じられないらしいが。)
「あ、でも、私、○✕駅で降りますよ?貴方は終点まででですか?」
「はい。新幹線に乗り継いで東京まで行きます。」
「え?大丈夫ですか?まあ、電車来たので乗りましょう。なんでもしゃべってくれて良いですよ」
となーんも考えず電車に乗った。
乗った電車の座席は田舎あるある、で向い合わせの四人掛け。
向い合わせに座って顔色の悪いその男性はじっと窓のそとを見ていました。すぐに電車は出発し、少し落ち着いたのか話しかけてきます。
「ああ、乗れた。」
なんか涙目だし。大丈夫かな?
「もう、馬鹿みたいですよね。電車に乗れないだなんて。」
「んー?どうですかね?馬鹿みたいだとは思わないですよ。誰しも苦手なものはありますしね。」
「昔はね、鈍行列車に乗って日帰りでどこまでも行くくらい、電車が好きだったんですよ。」
「へー、そうなんですかー。あ、今気づきましたけどね、私なーんにも考えず自分が進行方向に座って貴方のこと逆向きに座らせると言う無神経な行動してますけど、大丈夫です?わたしね、全く気が利かない人間なんですよ。デリカシーの欠片もないの。」
「それは全然大丈夫です。電車に乗って、ドアがしまるまでの間と、閉まった瞬間が苦手なんです。閉じ込められるんじゃないかと怖くて怖くて。笑っちゃってください。なんなら車乗っててトンネルで大声でわめいたこともあるんです。」
「え?笑いませんよ。おかしくないから」
「そ、そうですか?」
「はい。人間誰しも苦手なものや怖いものはあるじゃないですか。それ、別におかしいことじゃないですよね?」
「…そう、ですね。うん。でも私、電車だけじゃなく。飛行機もだめなんです。」
「ああ、そうなんですか。」
「数年前まで関西に単身赴任してて。毎回気絶しそうになりながら飛行機に乗ってたんです。空港で事情話してCAさんの前の席とってもらって。CAさんも馴れているのか落ち着かせてくれて。」
「そうなんですか。飛行機苦手な人は多いですもんね。」
「そうですね。私の場合閉じられて逃げられないって言うのがダメなわけで。でもそうじゃなくても高いところがダメだとかありますよね。」
「あ、わかります!うちの夫も高所恐怖症なんですよ。でも飛行機は『もう、諦めがつく』って言って開き直ってお酒のんでます。(笑)」
「そうなんですか。
。なるほどね。諦めがつく。そういう人もいるんですね。なんかちょっと気が楽になりました。」
「○○さん、江川卓って知ってますよね?」
「あ、はい!もちろん!昭和の怪物ですよね。」
「彼も飛行機全くダメだってしってますか?」
「え?そうなんですか?」
「はい。それこそ震えていたそうですよ。(大学時代、日米野球のため)どうしても飛行機に乗らなきゃいけないときがあって。そこであまりに震えていたのを見て、当時はスチュワーデスさんが、声を掛けて励ましてくれたそうです。」
「あの怪物と呼ばれた人にも弱みはあったんですね」
「そうですね。でね、その励ましてくれたスチュワーデスさんが、のちの江川さんの奥さんになったんです。」
「そうなんですか?」
「はい。だから、こうなると、江川さんは飛行機が苦手で良かったですよね。最高の奥さんを見つけられたんですから。」
「…なるほど。」
「今日、全くしらない○○さんとこうやってお話しできたのも、○○さんが電車が怖いおかげですしね。(笑)。私もこういったら失礼かも知れないけど○○さんの貴重なお話し聞けたのでこれはこれで良かったな、って思ってるんですよ。」
○○さんはポカンとした顔をしてちょっと笑顔になりました。
長くなってきたので一度ここまで。
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新幹線でお酒のんで行くって言ってたけどこれ、教えてあげればよかったかな。