幸せのありか | 町の本屋さん

幸せのありか

一息ついてやっと落ち着いた所に誰かやってきた。
どうせ拓実だ。
気まぐれにやって来る男。
まるでふうてんの寅だ。
私はドアも開けずに言った。
「拓実、もう来ないで。」
「何言ってるんだよ。早くここ開けろよ。」
拓実を見たら決心が緩む。
「私、付き合ってる人がいるから拓実とは会えない。別れて。」
「例の男か?うまくなんていかねーぞ。」
私は拓実のその一言にカチンときた。
「帰ってって言ってんだけど!」
「いいのか。お前、俺にそんなこと言って。後悔するぞ。」
「しねーよ。」
「ふざけやがって!」
拓実はドアを一蹴りして帰って行った。
足音がたんだん遠のく。
私の怒りもだんだん遠のく。
やっとけじめがついた。
そう思って、コーヒーを飲む。
現実は苦かった。
清々したのと同時に拓実と別れるのはやっぱり悲しい。
どこかでつながっていたかった。
どこかで信じていたかった。
どこかで自分の気持ちに素直になりたかった。
でももうこれで終わり。
拓実は来ることはないだろう。