幸せのありか | 町の本屋さん

幸せのありか

「哲生の連れてきてくれる所は何か落ち着くね。」
そう私が言うとちょっと哲生はうれしそうだった。
「でしょ。俺もこういう雰囲気好きだから。」
人気のない展望台に来た。
しばらく坂道が続いたかと思うと、道の途中にぽつんと展望台と駐車場があった。
車は一台もいなかった。
でも眺めはすごくいい。
「俺達は都会に病んでるんだよ。」
と哲生は言った。
「病んでる?」
「そう。都会っているだけで疲れるじゃん。疲れが溜まりすぎてるんだよ。」
「ふーん、そうなんだ。」
説得力があるような無いような。
何となくわかるような気はする。
「だから、こういう静かな所に来ると落ち着くんだよ。」
「確かに、そうだね。」
哲生が言うと何でも正しいような気がする。
哲生の言葉にはおかしな魔力がかけられてるんだ。
悪くすれば詐欺師に向いているような。
それは言ったら怒るだろうなと思い、口にはしなかった。