幸せのありか | 町の本屋さん

幸せのありか

快楽の余韻に浸りながら体も心も満たされるのを感じていた。
拓実のうっすらと残る香水の匂いが私の心を落ち着かせてくれる。
私はこの胸にいたい。
私の体をこの匂いで満たせてほしい。
この匂いが染み付くまで抱いてほしい。
拓実はベッドから出て服を着始めた。
「どうしたの?」
と私が聞くと
「たばこ買って来る。」と拓実は言った。
拓実は私の鞄をがさごそとあさって財布からお金を抜いていた。
「たばこ代貸して。」
と一万円札を振ってそのお金を無造作にポケットに押し込む。
「帰って来るよね。」
と私が言うと
「おう。」
とだけ言って家を出た。
「今度は信じてもいいんだよね。」
閉まった扉に向かってポツリと呟いた。