幸せのありか | 町の本屋さん

幸せのありか

「足だけでも浸かる?」車は海岸沿いで止まった。
「いいの?」
「いいよ。気持ちいいんじゃない?」
「でも車が汚れちゃう。」
「いいのいいの、そんなこと気にしない。」
そう言って山崎さんは車を降りた。
「さあ、行こ。」
人気のない海岸で私達はゆっくり海を堪能した。
砂浜がじんじんするくらい熱い。うっかり裸足になると火傷しそうだ。
それなのに風は肌寒いくらいに冷たい。日の光の暑さは風が吹き抜けて和らぐ。
山崎さんは靴を脱いで海へ浸かった。
「冷て~。薫ちゃんも早くおいでよ。」
私も足だけ海へ入った。
「ひぇ~、冷たい。」
思ったより冷たさがしみる。
海ってこんなに冷たかったっけ。
忘れていた海の感覚。
拓実と付き合ってからはどこにも出かけたことなかったっけ。
部屋にこもってたもんなぁ。
ここ何年か振り返ってみると
私、健全な恋愛してない!