幸せのありか | 町の本屋さん

幸せのありか

「この車、高いんじゃないですか?」
と私が言うと
「んふふっ。秘密。」
と、ちょっと得意気だ。
何という車なのか、聞いてみたけど横文字の名前でよくわからない。
紫色のワゴン車。
結構車内も広い。でも二人で乗るには無駄な空間。広すぎる。
外を見ると、窓の景色はどんどん流れていく。
チャリンコの兄さんも、乳母車を押してるおばあちゃんも、道路沿いの花壇に咲く花も、一瞬で消えてしまう。
人生もこんな風に走り過ぎ、どんどん忘れて行く。
拓実のことも流れる景色のように忘れていくんだろうか。
そういえば拓実はどこにも連れて行ってくれなかったなぁ、とぼんやり思った。