幸せのありか | 町の本屋さん

幸せのありか

拓実が使っていた毛布にくるまって私は拓実の気配を探していた。
拓実のぬくもりを忘れたくなくて、なんとか彼の体温を感じたくて、私は目を閉じる。
でも、何も感じない。
彼はどんな風に笑ってたっけ。
彼はどんな匂いしてたっけ。
彼はどうやって私を抱いていたっけ。
思い出そうとすればするほど薄れていく記憶。
人はこうして忘れていくのかな。
ぼんやり思った。
いい夢を見ていたようだった。夢が覚めてしまうのが惜しくて、また続きを見たくて眠りにつく。きっと眠ったら少しは気分もましになってる。
拓実のことももっと遠くに感じて、そして忘れていくんだろう。