幸せのありか | 町の本屋さん

幸せのありか

山崎さんが帰ると言うので、私は近くの公園まで送ることにした。
外は暑くて、ジリジリ紫外線が痛い。
それでも公園の木々に囲まれるとかなり涼しく感じた。
透き通る緑が気持ちいい。
ゆっくり二人で木の中を歩く。
「薫ちゃん、楽しかったよ。」
私は黙って微笑んだ。
「また誘ってくれたらうれしい。」
「いつでも、遊びに来て下さい。」
もちろん社交辞令だ。
「俺、薫ちゃんのこと本気だよ。彼氏みたいに不安にはさせないよ。」
私は目をそらした。
あんまりにもまっすぐな気持ちに目を合わせることができない。
「待ってるから。俺、薫ちゃんしかいないから待ってる。」
木の間から日の光がもれて山崎さんに当たる。スポットライトが当たったみたいに彼が光って見えた。
王子様が迎えにきたのかな。
でもなぜか全然現実じゃないような気がした。山崎さんもその言葉もこもれ日でさえも全て演出のように見えた。
うっすら意識が遠のく。
「じゃあ、またね。」
と言って山崎さんは走って行ってしまった。
私はそこから一歩も動けなくなってしまった。
私はどこに向かって歩けばいい?
自分の気持ちは誰に向いてるのか、それさえも今の私にはわからない。