幸せのありか | 町の本屋さん

幸せのありか

ピーンポーン
インターホンが鳴る。
来た。
私は玄関を開けると、いつもの明るい笑顔があった。
「お待たせ~。」
私は緊張がバレないように、平静を装う。山崎さんの軽いノリに助けられた。
「上がって下さい。」
と私が言うと
「いいのぉ。」
と言いながら、それでも遠慮する様子は全然なくづかづかと家に入る。
「お土産。」
と言って私に紙袋を差し出した。
細長い箱に入っている。どうもワインらしい。
「ワインですか?」
「うん。俺、よくわかんないから店員に選んでもらった。うまいらしいから一緒に飲も。」
私もあまりワインには詳しくない。価値がわからないから、言葉のかけようもなく
「気を使わせちゃいましたね。いただきます。」と、月並みの挨拶でごまかした。
「おぉ、うまそうじゃん!」
テーブルを見て、大袈裟に反応する山崎さん。
彼はいつもオーバーリアクションだ。
「俺、唐揚げ大好き。」と山崎さんは言って、テーブルの前に座る。
拓実も同じこと言ってたっけ。
忘れたいのに、山崎さんの行動でかえって思い出す。
「薫ちゃん、食べてもいい?」
「いいですよ。」
と私が言うと
「いただきま~す。」
といってはしを持った。
いただきますなんて、ちょっとしたところで育ちの良さがでる。
彼の両親は、しっかりしつけをしてきたのだろうな。
素直なところも、相手をさりげなく思いやるところも。