▶︎18歳の時にアルバイトしていたお店でふと頭の中で描いたお話。28歳の誕生日の日に"10年経ってしまう。形にしてみたい。"と想い書き始めました。

▶︎ウシガエルは、もうかえる。

▶︎前回のお話。▶︎1話はこちら

自分は居酒屋さんのNO1メニューだと思っていた食用カエルのウシガエルくん。いざ自分が調理されるとなり、わくわくした嬉しい気持ちになっていました。しかし、女の子たちが先に調理をされた仲間たちを"気持ち悪い"と言っているのを聞いてしまいました。はじめて知った"悲しい気持ち"と共に店を飛び出しました。

ウシガエルと病気と闘う女の子のお話。

▶︎2 話

ウシガエル君は、ひとり、雪の降る街を、雪より冷たい涙と"気持ち"と共に、ぴょんぴょん跳ねながら、さまよっていました。

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たくさん歩いたウシガエル君のお腹が、ぐーぐー言いました。


「お腹すいたなぁ...」


小さなお店の前で、男の子たちが、まあるい食べ物を食べながら「美味しいね」と笑っているのに気づきました。

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その姿を見て、さっきの居酒屋さんの女の子たちの言葉を思い出しました。ウシガエル君は、はじめて"切ない"気持ちになりました。


「ちきしょう!そんな奴より、僕の方が美味いんだ!」


子供たちは、まあるい食べ物を頬張りながら、楽しそうに、ウシガエル君の横を立ち去りました。そこに、まあるい食べ物の小さいかけらが落ちてきました。


"悔しい"気持ちのウシガエル君は、まあるい食べ物をにらみつけました。

ーグー・・・ー

ウシガエル君のお腹から大きな音が出ました。ウシガエル君は思わず、そのまあるい食べ物のかけらを口にいれました。

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「...美味い!」


ウシガエル君はぴょんぴょん跳ねて喜びました。


「君はお腹が空いてるの?」


ウシガエル君は見上げました。そこには一人の少女がいました。

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「こんなところで寒くないかしら?わたしのお家にくる?」


ウシガエル君は、小さな女の子の優しい笑顔に、お腹も、寒い"心"も、あたたかくなりました。そして、うなずきました。


▶︎続く