声を出せば的確なピッチ。そしてその声には、様々な喜びや悲しみが何の小細工も無しに織り込まれている。今まで様々なボーカリストを聴いてきた。上手な人は山ほどいる。でも、私は彼を、世界で一番天性の才能を持ち合わせたボーカリストだと思う。ここのところ10ccと共に生きている。彼らの歴史を辿っている。二人のメンバーが脱退した時の彼の驚きと悲しみを、私はまるで自分に起こった事のように、今起こった事のように体験してしまった。その痛みや失望から、きっと彼は立ち直れなかった。そして交通事故。このライブ映像は、二人のオリジナルメンバーの脱退後、エリックの事故前のものである。私が大好きだったこのアルバム収録予定の曲たちを聴いて、LolとKevinは脱退を決めたのだった。心に響く美しいメロディーたちを物足りなく退屈に感じたのだった。私には信じられない。The things we do for loveでさえ、Lolのお眼鏡にかなわなかった。二人が脱退してからもグラハムとエリックでバンドを継続したが、このアルバム(Decective Bends)が英国チャートの3位にいるにもかかわらず、以前のいたずらっ子のような無邪気な微笑みは、エリックの顔から消えていた。彼は今、南フランスにて奥さんとご隠居生活を送っており、昨年を持って音楽からは遠退いたそうだ。引退を知って私は昨日涙した。音楽制作中止後は、家を買っては直し売る、という、いわゆるハウス・フリップ、というのをやっていたそう。もちろん、半分以上、趣味でやっていたのでしょう。相棒のグラハムは、今だに精力的に10ccとしてツアーを続けています。悲しい事に、二人の間は音信不通だそうです。えーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんえーんエリック本人は、彼の類い希なボーカリストとしての才能に気づいていたでしょうか。もちろん音楽全般優れていますが、彼の声は、宇宙の宝物です。 真理