血と骨 | まれすけのギター日記

まれすけのギター日記

ボツボツと趣味でやっているギター。それにまつわる話や、大好きな映画、読書の話、なーんの関係もない話などをいろいろと書き連ねてみようと思っています。

タイトル: 血と骨 コレクターズ・エディション

評価:★★★★★


重いなー。重い。


でも、どこか懐かしさを感じてしまったのはなぜだろう。

その昔、親父は恐れられたものだった。
「地震・雷・火事・親父」という言葉がある。
・・・親父って災害なみにどうしようもなく恐いものだったってことか。

それがいつしか、カタカナの「オヤジ」になってから、妙に威厳がなくなったというか、権威が失墜したというか・・・。時代の流れと言えばそれまでだが、一抹の寂しさを感じるのは、私自身がオヤジ世代に足を踏み入れたということなのかもしれない。


ほかならぬ私の父も、この映画の主人公ほどではないにしろ、かなり恐かった。木刀で打ち据えられたこともある。父が怒ったっと思った瞬間、裸足で家を飛び出して、心配になった母が父をとりなして探しに来てくれるまで、知り合いの家にかくまってもらったり、橋の下に隠れていたこともある。(どんだけ悪いことしとったんやろ・・・)
そのころの父は、まぎれもなく「親父」であった。



若くして祖国・朝鮮の斉州島から日本に渡ってきた金 俊平は、持ち前の凶暴さと強靭さとそれに裏打ちされた暴力で、自らの周りを牛耳っていく。妻、子、兄弟、親戚、使用人、愛人、客・・・。
暴力でしか人とかかわれない不器用な男。
自分しか信じられない可哀相な男。
戦前・戦後を自らの才覚のみを頼りに渡り歩いた男の生き様を息子の視点から描いてゆく。


原作は、梁 石日(ヤン ソギル)の大河小説「血と骨 」(山本周五郎賞受賞作品)。

監督・脚本は「月はどっちに出ている」「マークスの山」「クィール」の崔 洋一。本人が在日2世であるだけに、その描き方にはリアリティがある。まるで、在日朝鮮人の長屋での生活を覗き見ているかのようだ。


また、この作品のために身体を鍛えあげた俳優・ビートたけしの怪演も素晴らしい。筋肉質であるのにおなかはボコッと出ている(鍛えてもおなかをひっこめる運動は一切しなかったらしい)という体つきは、金 俊平の人物像を見事に表わしている。
この作品は、俳優・ビートたけしの代表作となるだろう。


狙いかどうなのかはわからないが、登場人物のアップを極力廃し、引き気味の絵で撮られているため、私は個々の登場人物に感情移入することなく、終始、傍観者として観ることができた。
だいたいがのめりこみたいタイプではあるのだが、本作に限っては、このような観方が出来てよかったと思っている。


暴力的だとして排斥したり、否定系で観るのも悪くはないが、人の持つ「業」というものを体感できる作品である。生きるってなんだ?と疑問が湧いたときに観て欲しい1本。