
著者: 本多 孝好
タイトル: MOMENT
ウマいねー。
4つの小編が最後に結実し、ひとつの大きな物語を紡ぎあげる。
ありがちな構成だが、それが生きている。
何事にも力の入らない僕=某有名大学の4回生は、幼馴染の葬儀屋の女社長=森野に紹介してもらった病院の掃除夫のアルバイトをしている。
病院には、おかしな噂があり、死ぬ間際の患者のところに、なんでもひとつだけ願いをかなえてくれる使者が現れ、その使者は掃除夫の姿をしているというのだ。
ある老女の勘違いから23万9千円を報酬として、僕はその老女の願いをかなえてあげるのだが、老女はその後亡くなってしまう。
そして、その老女が僕に残した金額は、100万円。
僕は妙な義務感から、4回分の報酬をもらったのだからと、あと3回分、誰かの願いをかなえるべく・・・。
さわやかな清涼感のある文体と、会話表現のウマさは、近年の若手作家としては抜きん出ている。
ひとつひとつの小編の中に、小さな謎解きがあったり、さりげない伏線が効いていたりして、飽きさせない。
読後感もすっきりとしていて、久々にスカーッとした。
今日は東京への日帰り出張だったのだが、新幹線の中で一気読み。
中には、ほろりとさせられるシーンもあり、出来のいい映画を観ているような感覚で読んだ。
休みの日、1本の映画を我慢して読んでみることをオススメする。
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