やせっぽちのBoogie(仮題) 第7回 | 気ままに気楽に

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今日も息をしています。


シドは心地よい眠りについていた。

が、しかし昨夜の楽しい宴とは正反対な変な夢を観ていた。

自分が何者かに襲われる夢である。

どうしても仕事柄、そういう場面に遭遇するのだけれど、あまり夢でそういうのは観ないのに変な感じではあった。

まだ陽が出るか出ないかの時間に爆音とともにベットからずり落ちた自分に気づくとともに飛び起きた。

昨晩の酔いも一挙に醒めるほどの衝撃であった。

北東向きのベランダのガラス扉が完全に破壊されていた。

反対側をみると少なくとも5発の銃弾の跡と、きな臭い哨炎の匂いが充満している。

撃ってきたのか、、、、、、どこから??

ベランダに出て、外をみると丁度角度的に※1新神戸オリエンタルホテルの15階くらいの処が見える。

黒いカーテンは閉ざされたままである。

銃弾の何発かはベランダの反対側に設置した全身が映る鏡を置いているのだが何発か命中して粉々になっていた。

しかし自分は昨日、引っ越したばかりでこの雑居ビルの4階に住んでいるのを知っているのは、BLUEとKINGしか居ない筈であり、昨晩のパーティーでも他の誰も知っているのはいない筈である。

とすれば俺が※2新神戸駅からここまで来るまでの間、もしくはBLUE、KINGと再会した頃に尾行された可能性がある。

探偵業を生業として自分が尾行される程情けないモノはない。

間もなく警察の現場検証、事情聴取が始まりBLUEやKINGが心配してやってきた。

「シド、私達つけられていたみたいね」

「しかしいきなりのご挨拶だね、とにかくココは出なくちゃいけないわ」



ヤンチとかヤンキとかいう仇名の大男は神戸のみならず、全国で闇チェーンとしてネットワークを貼りめぐらし闇金融の帝王として君臨している。

腕っ節の方は確かで、中学生の頃から何度も警察の御厄介となりそのままお決まりの地元の最大組織Y組のスカウティングを受けその道に入るが、脱退して自分でしのぎをするようになったのだ。

Vシネマなんかに出てくるヒロイックな金融屋ではないホンモノのヤバい金融屋である。

とある商店主の金貸しの際に揉めて、その商店主を救ったBLUEとは対立関係にあり常に憎々しげに思ってはいるのだ。

電話をとった。

「おう、、、、、どうだった?仕留められなかったか、次はしくじるんじゃねーぞ」

ヤンチとかヤンキと言う男は静かに受話器を置いた。


第7回終わり

※1新神戸オリエンタルホテル→神戸を代表する高級ホテル。1997年にココの食堂のロビーでY組No.2の男がヒットマンに襲撃された血なまぐさい事件が起きた事もある

※2新神戸駅→神戸の玄関口、東京の八重洲、大阪の梅田みたいな感じか?周りには何もなく玄関口と言う割には裏山があるくらいで特に賑やかな雰囲気はない