台風一過、地面は濡れていても清々しい朝。

公園で太極拳の練習をしに行きました。

相変わらずの犬の散歩族。お互いを見つけるとオクターブ高い声、アニメ声であいさつしお互いのワンちゃんを可愛い可愛いと連発しすれ違う人々。

そんな中でこれまで習ってきた4つの型を復習してます。

ゆっくりとは言えパンチやキックを出すのですが、犬の散歩族で特に女性はこちらに平気で近づいてきます。

犬の散歩族が帰ると、誰もいなくなりました。正確には公園のふちをひたすら走っている人だけ。

静かです。急に風向きが変わりました。

あの男が静かに公園に入ってきました。メガネの男。Tシャツに短パン。白いソックスとスニーカー。

これだけだと普通の若者ですが、彼は目を半閉じで合掌しながら歩いてきます。なぜ合掌?まるで僧侶のよう。あ、なんとなく線香の匂いも?

彼はベンチに手をかけひとしきり腕立て伏せをやると太極拳の「起勢」の形に入りながらゆっくりと方向を変えていきます。まるで風水を気にしているかのようです。

そしてゆっくり回転し僕と正対しました。至近距離。半閉じの目で僕を見ています。

怖いよう。早く自分のルーティンを終えて逃げよう。彼は起勢のまま動きません。じーっとこちらに相対しています。

ゆっくり動いた自分のルーティン4つが終わりました。さっさと片づけて帰ります。

帰りながら僕は公園内の大きな樹の陰に隠れそおっと彼を遠巻きに眺めます。

恐ろしくゆっくりした動き。そもそも太極拳は呼吸と連動するので人間の深呼吸より遅くはできません。彼は人間ではない?

まるで動きながら瞑想しているようです。

いったいどこの流派なのだろう。メジャーな楊式でも僕が長い時間かけてやっている陳式でもありません。太極拳の大きな流派は5つあるので残りの3つでしょうか?

線香の匂いは近くのマンションからだと分かりました。今後彼を「目を半閉じ合掌男」と命名し、来たらなるべく早く逃げるようにします。

現場からは以上ですっ