混雑のピークを外した時間帯。
カウンターに座ると僕一人。
手書きのメニューからお勧めを注文。
板前さんが振り返ってささやく。
「メニューに書くほど量がないのですがマグロの頬肉が入ってますよ」と悪事を持ちかけるような小さな声。

はい!よろしくお願いします!

「そのままで?炙りで?」

一貫ずつ!

いやあ、頬肉!
珍しい部位。美味かったです!

ちょうど板前さんのシフトの時間なのか選手交代。

新たに来た板前さん「メニューに書くほど量がないのですが、マグロの頭の肉が…」

良いですね!さっきは頬肉で今度は頭!

「いえ、うちには頬肉なんて仕入れてませんよ!頭の肉です!さてはあいつ間違えたな!」

いえ、いいんです。頭だったのですね!
いやあ、頭の肉は美味い!

こっちが気を使いました。