子供の頃、年末の楽しみといえば「どりふ」でした。番組を新聞でチェックし全部観ては彼らのモノマネやってました。

が、そんな息子たちを尻目に父親の楽しみは「だいく」でした。「だいく」をテレビやラジオで放送している間父はイヤフォンで聞いてましたがそれでも子供たちは静かにしてなければいけません。

 

ある日、「だいく」を聞いてみました。ちょうどバリトンから330小節目まで、これが「だいく」だと思ってました。母親にいい曲だね!と言ったら、まだ先があるとのこと。

変わった音のする楽器がぼ、ぼ、ぼ、とやり始めトライアングルがでました。恐ろしく長い曲だ!自分には我慢できない。

しかし母親にきいたら更にその前に第1~第3楽章まである事。気が遠くなりました。だから父親は長い時間こもっていたのか。

ある日勇気を絞って第1楽章聞いたら痺れました。運命よりはるかに格好いい。また4楽章より好きでした。

 

中学に入り、父親に連れられて生オケデビュー。上野の文化会館でN響の春の第九でした。素晴らしい演奏でした。そこで初めて3楽章のホルンの素晴らしさに打たれました。

こんなにすごい事をホルン奏者はやっているのになぜみんな客席で寝ているのだろう。それをたたき起こすかのような4楽章冒頭の雷鳴のようなファンファーレ。

3楽章のホルンソロは耳コピ―しようとしてもなかなかできません。H-durなんて異次元の世界です。

 

父は定年後地元の合唱団に入り第九を歌ってました。弟も。今回親子での共演は果たせませんでしたが88歳の高齢の父が来てくれてきかせることができ良かったです。

 

仕事も忙しくなった年末の本番。練習が辛くて仕方なかったですが、出ないという選択肢を取ったら今激しく後悔していたでしょう。

オケの皆様には感謝しかありません。

 

唯一の後悔は毎年着ていたサンタの衣装を着れなかったことです。