結構通勤時間帯の電車は混んでいます。

朝の東京上野ライン。混んでいると思ってたらベビーカーを載せた親子がいました。

お母さんと3歳くらいの男の子。そしてベビーカーの主と思われる赤ちゃんがお母さんに抱っこされています。

僕はそのベビーカーの至近距離の位置になりました。

突然むづがり泣き出す赤ちゃん。大きな鳴き声です。お母さんは必死にあやしています。それに文句を言う輩も舌打ちする輩もいませんが、ため息が聞こえます。

僕はとっさに少し体をずらし赤ちゃんの視線に入り笑顔を向けました。ピタッと鳴き声が止み僕の顔をみましたが怪訝な顔をしてます。あやすつもりで余計に泣かしたら申し訳ない。

数発赤ちゃんに向けて顔芸をやりました。しかしマスクをつけているせいで効果は半減です。どんなに変顔をしても口が見せられないと効果ありません。

とは言え、この混みあった社内でマスクを外すわけにもいきません。

赤ちゃんはずっと僕を見ています。そしてお母さんとずっと喋っていた立っているお兄ちゃんまで話をやめ僕を凝視し始めました。友好的な雰囲気はなく、さっさと何かやれというような顔です。

しかしマスクをしたままでは普段の実力が十分に発揮できず、残念ですが視線をずらしました。赤ちゃんはまた泣き始めそうになりました。お母さんもちらちら僕を見ています。

そして他の乗客まで僕を見始めました。車内で無言の「なんかやれ!」の圧力です。今の僕には無理です。その親子は東京で降りていきました。僕は無力感を抱きながら新橋まで乗り続けました。

マスクのせいにするなんて。この年になりながらもまだ修業が足りない、もっと精進しなくてはと思いました。