「フェロー・トラベラーズ 」('23) | Marc のぷーたろー日記

「フェロー・トラベラーズ 」('23)

 

1950年代から1980年代の米国現代史を背景に、性的少数者に対する迫害や差別の歴史を2人の男性同性愛者の恋愛を中心に描いた政治スリラー・ミニシリーズ全8話です。主演はマット・ボマー、ジョナサン・ベイリー、共演はジェラーニ・アラディン、ライナス・ローチ、ノア・J・リケッツ、アリソン・ウィリアムズ、ウィル・ブリル、クリス・バウアー他。

 

生々しく切ない…。

 

単に性描写が生々しいだけでなく、スタッフ・キャストともに実際に同性愛者の人々が中心となって制作したドラマだけあって、綺麗事ではない、リアルで生々しいキャラクター造形とストーリーに、何度も腹を立てたり、心を震わされたり…。

 

今の時代からすると信じられないような酷い迫害や差別が「当然のこと」としてまかり通っていた時代が、遠い昔のことではないことを知識としては知っていても、こうやって映像で真正面から見せられると言葉を失います…。国家機密に関わる仕事をしている国家公務員が同性愛者であることをネタに脅迫されて敵国のスパイにさせられてしまう危険性を排除する目的で、同性愛者を見つけ出して排斥していたようですが、それにしてもやり方があまりに酷い…。

 

そして、当時の米国以上に酷い迫害が行われている国が今もまだ世界中に存在していることに思いを巡らせてしまいます。

 

このドラマで特に印象的だったのは、同性愛者を必要以上に嫌悪して迫害しようとする権力者ほど、実は同性愛者であることが珍しくない現実をしっかり描いている点。そして、男性同性愛者を中心とした物語ではありますが、それだけでなく、女性同性愛者などの他の性的少数者についても言及し、さらに黒人差別の問題もしっかり描いているのはグッド!

 

観る人を選ぶところは多々ありますが、それでも米国の現代史を性的少数者の視点から描いた本作は、一見の価値は間違いなくあります。