「父は憶えている」('22) | Marc のぷーたろー日記

「父は憶えている」('22)

 

キルギスを代表する名匠アクタン・アリム・クバト監督が脚本と主演も務め、23年前にロシアに出稼ぎに行ったまま行方不明になり、記憶と言葉を失ってキルギスの故郷の村に戻って来た老父と、その周囲が織り成す人間模様を描いたドラマ映画です。共演はミルラン・アブディカリコフ、タアライカン・アバゾバ他。

 

はっきり言ってしまうとストーリー自体は面白くないです。

 

キルギスの小さな村の長閑な景色を、無駄な音楽で装飾せず、その自然の音とともに長回しで撮った映像の美しさは印象的で、何度も眠りそうに (^^;;;

 

それでも、タイトルの「父は覚えている」(キルギス語の原題を直訳すると「私は覚えている」)の意味がようやく分かる結末は、予想通りではあるけれども心を打ちます。

 

キルギスにとって23年という年月は、おそらく日本で言うところの戦後20数年と同じくらいの劇的な変化があったのかもしれません。そう考えると、この老父が故郷に戻ってもなかなか記憶を取り戻さないのも当然なのでしょう。

 

また、そもそもこの老父が23年前にロシアで事故に遭ったとは語られていますが、どんな事故に遭い、それから20年以上もロシアでどうやって暮らしていたのかは一切描かれておらず、観ている側が想像するしかないのですが、ゴミを拾い集めることに執着してしまう様子から見ても、相当に過酷な生活を送っていたことは確か。

 

もちろん、その間の妻や息子についても想像を掻き立てられるところが多く、とにかく「観ている映像から、どれだけ色々なことを想像できるか」を試されているような気分になります。それを不快と感じる人もいるかもしれませんが、少なくとも自分はそこが面白いと思える映画でした。