「青いカフタンの仕立て屋」('22) | Marc のぷーたろー日記

「青いカフタンの仕立て屋」('22)

 

モロッコの伝統衣装の仕立て屋を営む夫婦と、若い職人の男女3人が織り成す愛情を描いたドラマ映画です。出演はルブナ・アザバル、サレ・バクリ、アイユーブ・ミシウィ他。

 

「モロッコ、彼女たちの朝」('19) で、イスラム圏としては比較的世俗的とされるモロッコでも今も根強く残る女性差別の問題を描いた、モロッコの女性監督マリヤム・トゥザニが、本作では「生きづらい立場にいる男性」を女性の立場から描いています。

 

前作では官能的な表現を控えめな映像で見せていましたが、本作ではもう少し踏み込んだ映像で官能を表現しているのが印象的。

 

主人公である妻は夫の全てを知った上で自らプロポーズして結婚し、夫を深く愛する妻であり続けたのだと思いますが、そんな彼女の生き方をどう考えるかで、この映画に対する印象も相当に変わるのではないかと思います。

 

とにかく、主人公を含めたメインの登場人物3人の心情をセリフではなく、役者の演技と演出で丁寧に描いていて、ただただ切ない…。

 

終盤のクライマックスシーンは映画的映像表現の「映え」を意識しすぎた過剰な演出に、ちょっとシラけちゃったのですが、イスラム圏でこういう映画が作られるようになったことに時代の変化を強く感じました。

 

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