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「帰れない山」('22)
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イタリアの作家パオロ・コニェッティの同名ベストセラー小説を原作とし、2人の対照的な青年の友情と成長を雄大な山岳風景とともに描いたドラマ映画です。主演はルカ・マリネッリ、アレッサンドロ・ボルギ、共演はフィリッポ・ティーミ、エレナ・リエッティ他。
切ない話だったなぁ…。
観る前は対照的な2人の青年の友情を2人の視点から描いているのかと思いきや、主人公は街育ちの青年ピエトロであり、基本的に彼の一人称の物語だったのはちょっと意外でした。
また、2人の関係も単なる親友というよりも、血はつながらないものの「同じ父親を持つ兄弟」のような関係で、同い年とは言え、心身ともに逞しい村育ちのブルーノの方が実質的に兄であり、ピエトロはそんな「兄」に憧れているようなイメージ。とにかく、ピエトロの父が、出番は少ないにもかかわらず、最後まで影のようにピエトロとブルーノの間に存在しているように感じられました。
そんな「兄弟」の関係が終盤で逆転、とまでは言わないまでも、大きく変わっていくのは、時代の流れもあるにしても、とても切ない…。
先祖代々受け継いできた昔ながらの酪農を続けたいだけのブルーノの素朴な思いが今の時代では受け入れられなくなっているのは仕方のないことではありますし、ピエトロが側にいればどうにかなる話でもないんですけどね…。
終盤の展開はただただ切なく、予想通りの結末で、物語自体に驚きや新鮮味は特にないのですが、美しく雄大な自然の中で描かれる切ない物語に、観終わった後にじわっと胸に迫ってくる映画でした。