「渇水」('23) | Marc のぷーたろー日記

「渇水」('23)

 

水道料金滞納世帯に赴き、給水停止を執行する水道局員が、育児放棄された姉妹の家の水を止めたことで葛藤していく姿を描いたドラマ映画です。主演は生田斗真さん、共演は門脇麦さん、磯村勇斗さん、山崎七海さん、柚穂さん、田中要次さん、大鶴義丹さん、尾野真千子さん他。

 

題材はいいのですが、この映画の作り手に対して怒りしか感じませんでした。

 

結局、育児放棄された姉妹の話は主人公の「成長」を促すための「道具」として描かれているだけで、現実にある育児放棄の問題を真剣に描くつもりなんてないんでしょう。また、終盤の主人公の行動はあまりに無責任だし、給水制限が行われている中ではもはや反社会的とも言える行為。それを罰することもなく、むしろ同情的に描くセンスもおかしい。そしてご都合主義の雨とか、観ている人を馬鹿にしているとしか思えず。

 

明らかに育児放棄が起きているのを知っていながら、児童相談所に連絡しようともしない主人公も、その同僚も、とても今の時代に生きている大人とは思えません。何のために児童相談所虐待対応ダイヤル「189」が用意されているのか、この映画の作り手は考えたことはないんでしょうか?

 

育児放棄を見て見ぬふりをしても良い、どうしても何かしたかったら、この主人公のように「反社会的」行為をしても良いとの間違ったメッセージを送るこの映画は、その存在自体が罪です。