「ある男」('22) | Marc のぷーたろー日記

「ある男」('22)

 

芥川賞作家・平野啓一郎さんの同名小説を原作とし、不慮の事故で亡くなった後に別人と判明した男の身元調査を依頼された弁護士が、他人として生きた男の正体を追うさまを描いたミステリドラマ映画です。主演は妻夫木聡さん、共演は安藤サクラさん、窪田正孝さん、柄本明さん、真木よう子さん、仲野太賀さん、清野菜名さん他。

 

Wikipedia「ある男」

 

もっとメロドラマ風にドラマティックに描くこともできる話を、敢えて淡々と、突き放したような視点で冷静に描いているのが印象的。

 

そのため、描かれているものを表面的に観ているだけでは、全てがさらっと流れていってしまうのですが、じっくりとその行間を想像しながら観ると、胸がぎゅっと締め付けられるような思いに…。

 

「語り手」である弁護士が帰化した在日韓国人であるとか、差別やヘイトスピーチの問題の絡めた方、そしてエピローグ部分での弁護士の姿は、映画全体の冷静な視点から離れていて、微妙な違和感はありましたが、むしろそれが狙いなんでしょうね。

 

ただ、事件の鍵を握る服役中の男を演じた柄本明さんの演技は、映画全体の中でかなり浮いていて、それが作り手の意図的なものであるのはわかりますが、もうちょっと違う見せ方でも良かったんじゃないかなぁと思えてなりませんでした。