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「犬王」('22)
古川日出男さんの小説「平家物語 犬王の巻」を原作とし、室町時代に実在した天才能楽師「犬王」をポップスターとして描いた、湯浅政明監督による歴史アニメーション映画です。声の出演はアヴちゃん、森山未來さん、柄本佑さん、津田健次郎さん、松重豊さん他。
ストーリーは大して面白くない。
重要なはずの要素を最終的に中途半端なまま放置してしまうなど、まとまりを欠いていて、「物語」の体裁をなしていませんから。
でも、そんなことなど、どうでもいいのです。
とにかく、ビジュアルのインパクトだけで充分過ぎるほど楽しめるのですから。
漫画家の松本大洋さんの原案によるキャラクターデザインは、はっきり言ってしまうと全く好みではないし、むしろ嫌い。
でも、その一見ラフなようでいて極めて繊細な線を、いわゆるアニメ的な線に変えることなく、そのまま動かしているのには、ただただ感服。
また、淡い色彩で統一され、まさに手書きの水彩画がそのまま動いているような繊細な映像には目が釘付け。
贅沢を言えば、この物語をミュージカルで表現するにしても、ロックやバレエのような西洋のものを流用するのではなく、もっと東洋的な工夫をしてほしかったなとは思いますけどね。