「ONODA 一万夜を越えて」('21) | Marc のぷーたろー日記

「ONODA 一万夜を越えて」('21)

 

太平洋戦争の終結から約30年もの長い歳月を経てフィリピンから日本に生還し、大きな話題を呼んだ実在の陸軍兵士・小野田寛郎さんの数奇な運命を日本を含めた5カ国の合作で描いた伝記映画です。主演は遠藤雄弥さん、津田寛治さん、共演は仲野太賀さん、松浦祐也さん、千葉哲也さん、イッセー尾形さん、嶋田久作さん他。

 

Wikipedia「ONODA 一万夜を越えて」

 

出演者は当然ながら日本の俳優ですが、スタッフはほぼ全てフランス人を中心とした外国人という異色作。日本を含めた複数の国の合作ですが、実質的にはフランス映画。フランスの映画人たちが小野田少尉をどう解釈し、どう描くのかという興味で観てみました。

 

まず中年以降の小野田少尉役に津田寛治さんをキャスティングしたのが見事。小野田少尉本人に容姿が似ているというよりも、小野田少尉が本来持っているシャープさが見事に再現されています。

 

また、小野田少尉を探し出した冒険家の青年である鈴木紀夫さんを演じた仲野太賀さんも、容姿というよりは素朴で親しみやすい雰囲気がピッタリ。

 

まずこの2人のキャスティングに感心しました。

 

そして何より印象的だったのは、小野田少尉を美化もしなければ、「軍国主義の被害者」のように描くのでもなく、一貫して淡々と冷静に描いている点。それによって、異常な状況を小野田少尉と共に経験しているような気分にさせられます。

 

とにかく、全編を通して「外国人が描いた日本」といった違和感は全くなく、何も知らずに本編だけを観た日本人でも純粋な日本映画だと思うはず。

 

ただ、小野田少尉について既に充分に知っている日本人が敢えて観るべき内容かと言われると、そこは判断が難しく、海外の方を含め、小野田少尉についてあまりよく知らない人向けの映画のように感じました。