石井輝男「地帯(ライン)」シリーズ全5作 ('58 - '61) | Marc のぷーたろー日記

石井輝男「地帯(ライン)」シリーズ全5作 ('58 - '61)

石井輝男 地帯 (ライン)シリーズ コンプリートボックス (初回限定生産) [DVD]/宇津井健

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新東宝の犯罪アクション映画シリーズ全5作です。

Wikipedia「黄線地帯 イエローライン」

シリーズは以下の5作。
  1. 「白線秘密地帯」('58)
  2. 「黒線地帯」('60)
  3. 「黄線地帯(イエローライン)」('60)
  4. 「セクシー地帯(ライン)」('61)
  5. 「火線地帯」('61)
ただし、シリーズとは言っても、石井輝男監督作品は4作目まで、5作目は脚本のみで監督は別の人。また、4作目までは売春防止法が施行されたことで地下に潜った売春産業を題材にしているのに対して、5作目は拳銃密輸に絡む暴力団同士の抗争を描いており、テイストが全く異なります。

5作品とも当時の日本を舞台にしていながら銃撃戦が頻出するなど、少々無国籍な雰囲気があるものの、娯楽に徹した内容が近年再評価されているのも納得の出来。また、5作品はそれぞれ独立したストーリーではありますが、出演者がかなり重なっており、それが「シリーズ」としての魅力となっています。

まず、5作品の全てにヒロインとして出演した三原葉子さんは、往年のハリウッドのミュージカルスター、ミッツィ・ゲイナーを彷彿とさせるルックスで、お世辞にも「美人」ではないのですが、親しみやすいルックスに加え、当時の日本人としては驚異的にグラマーでセクシーなプロポーションで、魅力を振り撒いています。4作目までは「一風変わった若い女」という似たようなコミカルな役ばかりでしたが、5作目で演じた情婦役はしっとりとした大人の女性で、これもまたグッド!

4作目以外の4作品に出演(2作目と3作目は主演)した天知茂さんは、撮影当時まだ20代だったようですが、そうは見えない貫禄でインパクト大。ただ、中年以降は渋い二枚目だった彼も、当時は少々「気持ち悪さ」の方が勝っていて悪役がはまるルックス。そのため、主演した2作目の役柄は微妙に違和感がありましたが、3作目で演じた殺し屋や5作目で演じたつかみどころのない飄々としたガンマン役はかなりハマっていました (^^)v

一方、3作目以降に主演している吉田輝雄さんは、5作目のチンピラ役はかなりハマっていましたが、3作目と4作目は役に対して実年齢が若すぎるせいか、無理している感じが強くて違和感。その未熟な感じが役に合っていると言えなくもないですが、少なくとも魅力的には見えませんでした。

その他には5作目のみの出演ですが、田崎潤さんの親分役は印象的。当時はまだ40代だったようですが、貫禄十分で出演者の誰よりも存在感がありました。