「紙の月」('14) | Marc のぷーたろー日記

「紙の月」('14)

紙の月 DVD スタンダード・エディション/宮沢りえ,池松壮亮,大島優子

¥4,104
Amazon.co.jp

不倫相手の大学生に金を工面するために顧客の金に手を付けてしまった銀行員の既婚女性を描いた角田光代さんのベストセラー小説を映画化した作品です。主演は宮沢りえさん、共演は池松壮亮さん、大島優子さん、小林聡美さん、田辺誠一さん、近藤芳正さん、石橋蓮司さん他。

Wikipedia「紙の月」

宮沢りえさんを観る映画。

彼女の演技、特に表情の繊細さはいつ観ても素晴らしいのですが、本作では特にその良さが際立っているように感じました。

その一方でストーリーに関しては、「ごく普通の主婦が犯した犯罪」として描いているように見えながら、少女時代のエピソードによって、主人公は目の前の善行(利益)のためには手段を選ばず、罪悪感も抱かない、ある種の「サイコパス」であることが示されていて、全然「ごく普通」ではないというところに微妙なひっかかりを感じました。

この手の横領事件の犯行のきっかけは「魔が差した」ものが多いイメージがあり、本作にも「誰もが落ちしてしまう落とし穴」として主人公に共感や同情を抱かせようという意図があるようにも見えるのですが、それよりもむしろ「サイコパスの女が本性を現した」だけのようにも見えてしまい、主人公に共感や同情はこれっぽっちも抱けないのです。

そのあたりの「どっちつかず」な感じが、作り手の意図通りであることは分かるのですが、観ている側としてはどう受け止めれば良いのか分からなくて戸惑ってしまい、そのもやもやが解消しないまま物語が終了しちゃったというのが正直な感想です。