「オリンピックの身代金」('13) | Marc のぷーたろー日記

「オリンピックの身代金」('13)

1964年の東京オリンピックを舞台にした奥田英朗さんの同名サスペンス小説をドラマ化した作品です。主演は竹野内豊さん、共演は松山ケンイチさん、黒木メイサさん、唐沢寿明さん、天海祐希さん、沢村一樹さん、江角マキコさん、速水もこみちさん、榮倉奈々さん、岸部一徳さん他

テレビ朝日『オリンピックの身代金』番組サイト
Wikipedia「オリンピックの身代金 (奥田英朗)」

原作を読んでからと思っていたのですが、読む時間のないままドラマ放送を迎えてしまいました (^^;;;

観応えはありました。

主人公の刑事の言動にいろいろと不自然で現実味のない部分がありましたが、何より、2020年に予定されている東京オリンピックに対してどうしても諸手を挙げて賛成することができない僕の心情を代弁するかのような内容に見入ってしまいました。

もちろん、1964年の東京オリンピックと2020年の東京オリンピックでは、日本の社会や歴史における意味や位置づけはだいぶ違いますが、本質的な問題点は同じ。むしろ当時から50年近くも経った今も何も変わっていない「格差社会」に空しさしか感じません。

また犯人が当時の学生運動を「革命ごっこ」と切り捨てたことにもうなずくばかり。所詮は頭でっかちの革命家気取りのガキたちに対して僕が常々感じていたことを代弁してくれたことに感謝したくなるほど。

犯人をヒロイックに描き過ぎているところに若干のひっかかりはありますし、結末があっさりし過ぎていて肩透かしを食らった気分にはなりましたが、今こそ観るべき作品でしょう。

それにしても、松山ケンイチくんは昭和の青年役がハマります。他の、特に若い出演者に、どうしても21世紀の人間が「演じている」感が残ってしまっている中、当時の人間がタイムスリップでもして来たかのような「しっくり感」は彼ならでは。彼のハマりぶりを観るだけでも価値があります。