「カルメン故郷に帰る」('51) | Marc のぷーたろー日記

「カルメン故郷に帰る」('51)

木下惠介生誕100年「カルメン純情す」 [DVD]/高峰秀子,若原雅夫,淡島千景
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日本初の「総天然色映画」として公開されたコメディ映画です。主演は高峰秀子さん、共演は小林トシ子さん、笠智衆さん、佐野周二さん、佐田啓二さん他。

Wikipedia「カルメン故郷に帰る」

実際には日本初のカラー映画は1937年の「千人針」ですが、国産フィルムを使ってのカラー映画は本作が初。ただし、カラー撮影の出来に不安があったらしく、万が一のために、カラーで撮影後、モノクロでも再撮影したという作品。

そんなエピソードのある有名作品で、実験的意味合いが強いこともあってか、ストーリー自体はあってないようなものですが、それでも、徹底したノーテンキな内容が今の時代にはむしろ新鮮。

主人公はかなりオツムの弱い女で、彼女のバカ丸出しの言動に、戦後間もない当時の日本の軽薄さを風刺する意味合いを含める一方で、そんな彼女を全否定することなく、むしろ最終的には肯定的に描くあたりに、当時の、悪く言えばノーテンキだけれど、ポジティブな日本社会の「空気」を見る思いがしました。

因みに、日本独自技術によるカラー映像は、デジタルリマスタリングしてはあっても、あまり美しいとは思えませんでした。赤と白の発色はいいですが、青と緑が微妙に赤みがかっていて、せっかくのロケで映した空の青も山の緑も薄汚れているようにしか見えませんでした。