「日輪の遺産」('11) | Marc のぷーたろー日記

「日輪の遺産」('11)

日輪の遺産 特別版 [DVD]/堺雅人,中村獅童,福士誠治
¥4,935
Amazon.co.jp

敗戦前夜の1945年8月、マッカーサーの財宝900億円 (現在の貨幣価値で約200兆円) を隠匿せよとの極秘任務を遂行することになった人々を描いた浅田次郎さんの同名小説を映画化した作品です。主演は堺雅人さん、共演は中村獅童さん、福士誠治さん、ユースケ・サンタマリアさん、八千草薫さん、森迫永依さん、麻生久美子さん、塩谷瞬さん、八名信夫さん他。

Wikipedia「日輪の遺産」


日本人のプライドをくすぐる内容なので、この映画を好きな人はきっと多いんだと思います。僕も終盤までは素直に心を打たれましたから。ところが観ていて徐々に説明の出来ない違和感が大きくなって行き、最後には「う~ん」という気持ちにしかなれなかったのです。

観終わってから、その「違和感」の正体が何なのかを冷静に考えてみて、ようやく分かったのは、この映画の脚本は良く出来ているにもかかわらず、見せ方 (演出) に「品がない」ということ。

僕は、この映画が描こうとしているのは、戦争の悲惨さでも反戦のメッセージでもなく、「日本人の美徳」だと思っています。そして僕が考える日本人の美徳とは「控え目さ」にあり、「オレがオレが」と自己主張することは下品であるという感覚です。

ところがこの映画は、そういった日本人の控え目さを描いている一方で、「この日本人的控え目さや奥ゆかしさは実に素晴らしいだろう」と露骨に見せつけ過ぎていて、はっきり言ってしまえば押し付けがましいんです。

日本人の美徳を、その感覚からすると下品に見える見せ方で見せていることに僕は違和感を抱いたのです。

このあたりは微妙な感覚なので、この感覚だけを持って、この映画を批判する気はないんですが、僕の好みで言えば、もうちょっと控え目な演出で見せて欲しかったというのが素直な感想です。