連続ドラマW「罪と罰 A Falsified Romance」('12) | Marc のぷーたろー日記

連続ドラマW「罪と罰 A Falsified Romance」('12)

ドストエフスキーの「罪と罰」を現代日本を舞台に翻案した落合尚之さんの漫画を原作としたドラマです。主演は高良健吾さん、共演は水川あさみさん、田中哲司さん、伊武雅刀さん他。

WOWOW連続ドラマW「罪と罰 A Falsified Romance」
Wikipedia「罪と罰 A Falsified Romance」


ドストエフスキーの「罪と罰」は、そのあまりに「中二病」全開のくだらない内容に、読んでいて呆れ果てた作品。太宰作品と同じレベルでくだらないし、ナルシスト臭がキツ過ぎる単なる中学生向けの「児童文学」。もちろん、文学的価値があるのは分からないではないです。19世紀のロシアを舞台にしていながら、現代を予言したかのような内容ですから。でも、今の時代に敢えて読むほど意味や価値がある作品とは到底思えないのです。

そんなわけで内容にはさほど期待していなかったんですが、現代日本を舞台にどんな風に翻案しているのかに興味があって観てみました。


翻案の仕方は面白いと思います。

自意識過剰の中二病の主人公に殺されるのが、金貸しの老婆から女子高生売春グループのリーダーである冷酷な女子高生に変えられているのは、今の時代を舞台にする上では的確な脚色でしょう。演じた橋本愛ちゃんの大人びたクールなルックスがハマっていましたし。

が、大元のドストエフスキーの原作が持っているくだらなさやバカバカしさは、このドラマでもそのままだし、それに加えて舞台劇のような現実味のないセリフを朗々としゃべり続ける登場人物たちに対しては冷めた目でしか見られませんでした。

そもそも、この物語で描かれる以上に残酷で理不尽な殺人事件が日常茶飯事のように起こり、そして扇情的に報道される現代社会で、こんな古臭い話は説得力を持たないです。

そして何より、水川あさみちゃんのミスキャストぶりには笑うしかありませんでした。