「指輪をはめたい」('11) | Marc のぷーたろー日記

「指輪をはめたい」('11)

頭を強く打った拍子にプロポーズの相手を忘れてしまった30歳目前の「大人になり切れない男」の姿を描いた伊藤たかみさんの小説を映画化したラブコメディです。主演は山田孝之さん、共演は小西真奈美さん、真木よう子さん、池脇千鶴さん、二階堂ふみさん他。

映画「指輪をはめたい」公式サイト
Wikipedia「指輪をはめたい」
原作「指輪をはめたい」感想

原作がイマイチな出来だったので、さほど期待していなかったのですが、予告編の「レトロポップ」な映像に惹かれて観て来ました。


惜しい…。


原作より遥かに良かったことだけは確かです。投げっぱなしの中途半端な終わり方に不満しか残らなかった原作に比べ、描きたいことがはっきりしていて「オチ」がちゃんとあるし、主人公を含め、登場人物のキャラクター設定を大胆にアレンジしてテーマを分かりやすくしているのもグッド!

もちろんお目当ての映像も綺麗で可愛らしいし、切なさ全開のクライマックスシーンには思わず涙が (ToT)


ただ、監督の岩田ユキさんが元々イラストレーターだからなのか、カット割りにしろ、演出にしろ、漫画のコマ割りっぽくて、特にコミカルなシーンは、同じことを漫画でやれば相当に笑えるんでしょうが、実写の映像ではテンポが悪くて全く笑えないのです。もう少し細かくカットを割るなどしてテンポアップすればもっと笑えたはず。

それに現実のシーンと幻想のシーンの境目が曖昧で分かりにくいし、主人公の記憶が戻ってからがダラダラと長過ぎて、せっかくの切なく胸に迫るシーンが色褪せちゃっています。


それでも、実質的なヒロインを演じた二階堂ふみちゃんの魅力を知ることが出来たのはかなりの収穫。以前に彼女が出演した「ガマの油」('09) では役柄のウザさもあって、ただの「ドブスな女の子」としか思えなかったのですが、この映画での彼女はとにかく印象的。

年齢不詳な雰囲気を活かした役柄で、少女の役も大人の女性の役も全く違和感なく見せられるのは見事。決して容姿が美しいわけではないし、演技もテクニックとしてうまいわけではないのですが、存在感と雰囲気は既に大物の風格。海外で賞を取ったのも納得。「ガマの油」 での悪いイメージが完全に消え去りました。


いろいろと不満はありますが、軽妙なラブコメディと思わせて、最後に切なくほろ苦い結末を用意する展開はかなり僕好みですし、終始出ずっぱりの山田孝之くんの好演もあり、「悪くない」映画ではあります。

ただ、主人公を「愛すべき純情男」と見るか、「不誠実なサイテー男」と見るかで、作品自体への評価が大きく変わるので、好みは極端に分かれるでしょうね (^^;;;


関連記事