「人間の証明」('77) | Marc のぷーたろー日記

「人間の証明」('77)

人間の証明 デジタル・リマスター版 [DVD]/三船敏郎,鶴田浩二,松田優作
¥2,940
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森村誠一さんの代表作である同名長編推理小説を松山善三さんの脚色で映画化した作品です。主演は松田優作さん、岡田茉莉子さん、共演は鶴田浩二さん、三船敏郎さん、ジョー山中さん他。

Wikipedia「人間の証明」


大昔にテレビで放送されたものを観た記憶があるのですが、その後何度もリメイクされたドラマの方の印象が強くなってしまい、すっかり忘れてしまったので、久しぶりに観てみました。

う~ん…。

原作を未読なので、どこまでが原作通りで、どこからが松山善三さんの脚色なのか分かりませんが、松田優作さん扮する刑事の過去にまつわる「因縁の偶然」が多過ぎるとか、終盤の展開がいかにも日本映画的「お涙頂戴」で現実離れしてるとか、突っ込みたくなることばかり。全体に描き込みが足りないせいで、真犯人の犯行に至るまでの心の動きも理屈では分かっても、心に全く響かないし、結局、何が人間の証明なのかも不明。

また、事件の背景を重厚に見せようとしている割には演出も音楽も軽いせいで薄っぺらく見えてしまっているのもダメ。特に大野雄二さんの音楽は「ルパン三世」のような軽妙なアニメならともかく、こういう人間ドラマで使うには軽くて安っぽくて全く合っていないのです。


それでも、当時はまだ戦後30年で、戦中戦後を経験している人が数多くいた時代だからこそ成立するストーリーだし、今の時代には映像化は難しいだろうなと思える差別的描写や強烈に反米的な米兵の描き方など、当時の時代を感じさせるポイントは興味深く観ることができました。
もちろん、そういったポイントが優れているかどうかは別として (^^;;;
また、三船敏郎さんや鶴田浩二さんといった大スターが脇役で出演している他、端役に至るまで有名俳優を起用している豪華さは当時の角川映画の「勢い」を感じさせますし、特にオスカー俳優のブロデリック・クロフォードとジョージ・ケネディまで出演させているのには、「すげー」という驚きしかありません。


というわけで「豪華キャストを堪能する」という意味では「いい映画」でした (^^)