「それでも、生きてゆく」('11) | Marc のぷーたろー日記

「それでも、生きてゆく」('11)

少年犯罪の被害者遺族と加害者家族の15年後の姿を描いた人間ドラマです。主演は瑛太さん、満島ひかりさん、共演は風間俊介さん、田中圭さん、風吹ジュンさん、時任三郎さん、大竹しのぶさん他。

フジテレビ「それでも、生きてゆく」公式サイト
Wikipedia「それでも、生きてゆく」


題材に惹かれて観たのですが、最後まで違和感を拭えないドラマでした。

派手さはありませんが、実力のある役者さんを揃えているので、演技の面ではかなり見応えがありました。音楽も素晴らしかったですし。

が、登場人物の描き方に馴染めなかったのです。

非常に特殊な状況に置かれている人物なので、自分には想像もできない部分があることは確かですが、それでも主人公2人の言動に、「そんなこと言うかなぁ」「そんなことするかなぁ」と違和感を抱いてしまうのです。もちろん、とっさの状況についヘンな言い回しで笑っちゃうようなことを言ったりするあたりはリアルだなぁと感じましたが。

僕がどうしても釈然としなかったのは、2人の間に恋愛感情のようなものが芽生えている点。せめて「共感」までにとどめておくべきだったと思うのです。どうしてもその設定が必要なのであれば、15年前の事件が起きる前、子供の時に単なる知り合いだったのではなく、そこに「初恋」があったとか、そういう「因縁」があれば (ベタ過ぎますが) まだ納得できます。ところが、ほとんど初対面に近い2人がこんな特殊な状況で出会って恋愛感情を抱くというストーリーは、恋愛の障害として被害者と加害者の関係を単に利用しているだけのように見えて不快なのです。


他にも、猟奇的な少年犯罪を犯した人間は決して更正などしないとでも言うような、世の中の偏見を助長するような描き方にも馴染めませんでした。

せっかくフィクションという形を取っているのですから、対比として更正している人物も登場させるべきだったのではないでしょうか。たとえ「嘘っぽい」と言われても、テレビドラマという多くの人が気軽に接することができる媒体である以上、そういう描き方をすべきだと思うのです。

一部ではとても支持の高いドラマで、それは僕にも分かるのですが、僕には馴染めない部分、気になる部分が多いドラマでした。