「愛を乞うひと」('98) | Marc のぷーたろー日記

「愛を乞うひと」('98)

愛を乞うひと [DVD]/原田美枝子,野波麻帆,小日向文世
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子供のころ、母親から虐待を受けていた女性が父の遺骨を探す中で改めて母親との記憶に対峙する姿を描いた人間ドラマです。主演は原田美枝子さん、共演は野波麻帆さん、中井貴一さん、國村隼さん、うじきつよしさん、小日向文世さん、熊谷真実さん他。日本アカデミー賞をはじめ様々な賞を受賞しています。

Wikipedia「愛を乞うひと」


最近では児童虐待を題材にした映画やドラマが数多く作られていますし、ニュースでも多く報道されるようになりましたが、児童虐待自体は決して最近のものではなく、昔からあったのだという事実に改めて気付かされる映画でした。

同じ題材を扱った最近の作品では「虐待を受け続けた子供は犯罪者予備軍」と言い切るような一方的で扇情的な内容が多く、不満を感じていたのですが、この作品では比較的真摯に描かれていると感じました。


そして、この映画で特筆すべきはやはり原田美枝子さんでしょう。

元々、淑やかな貴婦人から淫らな娼婦まで違和感なく演じられる女優さんですが、この作品ではその個性が存分に発揮されていて見応え充分。

1人2役を演じる場合、多くの役者が演じ分けを意識するあまり、オーバーアクトになりがちなんですが、原田さんの場合は元々どちらの役にも合っていることもあり、全く違和感のない自然な演じ分けができていて素晴らしい。数々の賞を受賞したのも当然でしょう。


内容に関しては、娘 (野波麻帆さん) のキャラクターや台湾の人々の描き方に微妙な違和感があって双手を挙げて「好きな作品」とは言い難いですし、そもそも題材からして万人向けの娯楽映画とは程遠いのですが、観て損のない映画ではあります。