「砂の器」('11) | Marc のぷーたろー日記

「砂の器」('11)

これまで映画や連続ドラマなど何度も映像化されて来た松本清張さんの小説を若手刑事の視点で映像化した二夜連続スペシャルドラマです。主演は玉木宏さん、共演は中谷美紀さん、佐々木蔵之介さん、小林薫さん他。

テレビ朝日「砂の器」
Wikipedia「砂の器」


原作は未読ですが、2004年の中居正広さん主演のドラマ、名作・傑作と呼ばれている1974年の映画の両方を観ています。

若手刑事を主人公にするという「改変」をしている時点で、全く期待できないのですが、2004年のドラマと同様、今の時代に「ハンセン氏病」の設定を原作通りに使うことはできないと思われたので、どう変えてくるのか、その1点への興味だけで観てみました。


う~ん…。


「冤罪」ですか…。今の時代にも通用する現実的なものではありますが、事件の原因としてはちょっと弱いかなぁ…。2004年のドラマでの改変の方が、(極端過ぎるし、そもそも時代設定に無理があったものの) 強烈なインパクトと説得力があったように思います。


また他の点でも、そもそも若手刑事を主人公にして、しかもオリジナルキャラクターとして、主人公の恋人の新聞記者を登場させたことで、なんだか「トンデモ」なストーリーになっちゃってました。警察の捜査にイチイチ「同行」している新聞記者も不自然ですし、作曲家の作風が変わったから犯人だと断定しちゃう「電波系」でナルちゃんな主人公には、開いた口が塞がりませんでした (^^;;;

せっかく原作通りに、戦争を挟んだ時代を舞台にしたことで、犯人が別人に入れ替わる設定に説得力が出せたのに…。

主人公に違和感を感じるのは、演じているのが玉木宏さんという、そもそもナルシスティックな雰囲気のあるイケメン俳優だからというのもあるんでしょう。ここまでベタな浪花節で作るんだったら、1974年の映画でこの役を演じた森田健作さんのような体育会系の役者さんを起用した方が良かったんじゃないんでしょうか。と言っても今の30代の俳優で体育会系っていうと伊藤英明さんくらいしか思いつかないんですが、伊藤さんでは現代的すぎて昭和35年という時代設定に合わないし…。

とにかく、主演の玉木さんだけでなく、佐々木蔵之介さんの雰囲気がウェットなのも気になりましたし、山本學さんも幼い子を持つ父親にしては年を食い過ぎているし、結局、物語世界の中で違和感なく観られたのは小林薫さんだけでした。西村雅彦さんは論外 (^^;;;

このドラマで初めて「砂の器」に接した人にとっては、これでも充分なのかも知れませんが、このドラマを観るくらいなら1974年の映画を観た方が (時代設定に無理があるものの) はるかにいいと思います。


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