「赤ひげ」('65) | Marc のぷーたろー日記

「赤ひげ」('65)

赤ひげ <普及版> [DVD]/三船敏郎;加山雄三;山崎 努;二木てるみ
¥3,990
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山本周五郎の小説「赤ひげ診療譚」を原作とした黒澤明監督作品です。主演は三船敏郎さん、共演は加山雄三さん、二木てるみさん、山崎努さん、団令子さん他。

Wikipedia「赤ひげ」


2002年に江口洋介さん、伊藤英明さん主演でリメイクされたドラマを観て、そのあまりの安っぽい出来にかなりガッカリしたのですが、さすがオリジナルは見応え充分。やはりこちらを先に観ておくべきでした。

ストーリー自体はリメイクもほぼ完全に同じなのですが、セットや役者、そして演出が違うと、こうも違って見えるんだということがよく分かります。

この映画が作られた1960年代の役者さんは、脇役やエキストラを含め、着物姿に違和感がないですし、所作も自然。顔立ちも洗練されていない分、江戸時代の貧しい人々を演じても全く違和感がないのです。この雰囲気はもはや21世紀の今では出せないんでしょう。

また映像としての見せ方も重要。カラーのテレビドラマでは、貧しさなどグロテスクで視覚的に醜い部分を生々しく表現することが憚られるのですが、モノクロの映像であることで、そういった点をストレートに表現できているため、「絵」としてリアルで説得力があるのです。その一方で、「何でも見せてしまう」のではなく、「露骨に見せない」ことで下品にならないようにしているのもグッド!

黒澤映画特有の緻密に計算された巧みな画面構成と、光と影を効果的に使った見せ方など、今回も観ていて唸るところばかりでした。


他にも、主演の三船敏郎さんの迫力のあるカリスマ性が見事なのはもちろん、実質的な主人公である保本を演じた加山雄三さんのハマりぶりも印象的。決して演技自体が巧いわけではないのですが、彼本人が持っている「世間知らずのボンボン」というキャラクターイメージが役にぴったりハマっていて、これ以上ない説得力がありました。


3時間を超える長尺なので気楽に観るというわけにはいかないでしょうが、それでも、これは一度は観ておくべき傑作でしょう。


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