「赤い文化住宅の初子」('07) | Marc のぷーたろー日記

「赤い文化住宅の初子」('07)

赤い文化住宅の初子 [DVD]/佐野和真,東亜優,塩谷瞬
¥3,990
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不幸な境遇の中、健気に生きる中学生の少女の姿を描いた純愛映画です。主演は東亜優さん、共演は塩谷瞬さん、佐野和真さん、坂井真紀さん他。



もはや笑っちゃうくらい不幸で貧乏 (でも健気) な少女を主人公にした 1970年代にありがちだった少女漫画を、現代を舞台にすることで、ある意味でパロっているような、皮肉っているような内容。「赤毛のアン」をモチーフに使っているのも象徴的です。

どんなに不幸な境遇でも健気に生きていれば、「いつか白馬の王子様がドキドキ」という少女の夢、というよりも「妄想」を、ぶちこわしつつも、ほんのちょっとだけ叶えちゃうようなストーリーは、僕にとってはちょっと中途半端で物足りないものがありましたが、10代の女の子なら共感しちゃう子も多いんじゃないかと思います。ところどころに挿入されるヒロインの妄想を描いたマンガチックな演出も可愛らしいと言えば可愛らしいですし。

一方、「王子様」を演じた佐野和真くんの垢抜けない感じはリアルでいいんですが、何故この「王子様」がヒロインのことを好きなのかが最後まで全く分からず。ヒロインはただジメッと暗いだけで鈍臭いし、しかもブサイク。こういう「これといって魅力のない平凡な主人公が王子様に愛される」というあたりが、少女漫画的で僕のようなオジさんの心に響かないところなんですよね。

まぁ、このヒロインの魅力のなさは意図的なんだろうし、だからこそ担任のぐうたら女教師がヒロインに対して「いつか誰かが助けてくれると思ってるんでしょ?」と言い放つセリフが生きてくるわけですし、またそもそも「王子様」は実は単なるヒロインの妄想が生んだ幻だったという解釈も可能ですし。


世界中の少女に夢を与えたとされる「赤毛のアン」が、実際には世界中の多くの少女に「無駄な夢=妄想」を抱かせ、現実逃避させただけに過ぎなかったのかもしれないというのは、なかなか面白い「解釈」だと思いました (^^)v