「女の子ものがたり」('09) | Marc のぷーたろー日記

「女の子ものがたり」('09)

女の子ものがたり [DVD]/深津絵里,大後寿々花,福士誠治
¥4,935
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西原理恵子さんの同名漫画を深津絵里さん主演で実写映画化した作品です。共演は大後寿々花さん、波瑠さん、高山侑子さん、福士誠治さん、風吹ジュンさん他。

Wikipedia「女の子ものがたり」



何とも切ない話でした。

メインストーリーは、女性版「スタンド・バイ・ミー」そのもので、たぶんアラフォーの女性ならかなり沁み入るものがあるんでしょう。でも僕には「女の友情」はイマイチピンと来ず。それに主人公を含めた3人の少女のキャラクターが頭では理解できても、共感できなかったのが大きいです。特に、自分に良くしてくれる優等生にいきなり「大嫌い」と言ってしまう主人公には、気持ちは分かるものの、「ちょっとそれは…」と抵抗を感じましたし。

ただ、その背景にある「貧困」が招く負の連鎖には、「ありがち」と思いながらも胸が痛みました。

もちろん「貧困」の中にあっても、負の連鎖に呑まれることなく、生きている人は世の中に大勢いますが、それでもこの映画で描かれたような女性は少なくない、というよりもとても多いのではないかと思えてならないのです。

「格差社会」は最近の言葉ですが、もっとずっと昔から日本は完全な「格差社会」であり、多くの人がそれに気付いていながら見て見ぬ振りをしていただけだということを、改めて目の前に突き付けられたような気がしました。


しかし、だからこそ、主人公の親友のキャスティングに納得できないのです。主人公の少女時代を演じた森迫永依ちゃんと大後寿々花ちゃんは可愛いけれど「平凡さ」のある女の子なので、こちらに違和感はありません。でも、その親友を演じた子役も女優も役に対して洗練され過ぎているし、綺麗過ぎるんです。これだけのルックスを持っていれば、あんな生活を選ばなくても充分に幸せに生きて行けるはず。観ている側にはそういう違和感が最後まで拭えないのです。また、都会的で洗練されている女の子が田舎の底辺で生きる女の子を「無理して」演じているのがアリアリと見えてしまい、痛々しくて見ていられませんでした。

もちろん、リアルに地方の貧困層で生きているように見える女の子が出て来たところで、「そんな映画、誰が観るんだ?」と言われちゃうんでしょうが、それにしても、もうちょっと「平凡」に見える役者を揃えられなかったんでしょうか…。


他にも、終始一貫して主人公が「傍観者」なのも物足りない。確かに母親や義父との関係も描かれていますが、あっさりと表面的に「綺麗に見える」部分だけが描かれていて、親友2人に比べるとあまりに浅いし、親友2人と距離感がありまくり。だから、親友が主人公のことを思って、絶好を告げ、地元から出て行くように言っても、主人公にとって「大したこと」に見えず、本当は「感動的」なシーンのはずが、イマイチ胸に迫らず…。

とにかく、森迫永依ちゃん、大後寿々花ちゃん、深津絵里さんといった「いい演技」のできる女優を揃えていながら「食い足りない」印象ばかりが残る映画でした。