広島発ドラマ「火の魚」('09) | Marc のぷーたろー日記

広島発ドラマ「火の魚」('09)

室生犀星の同名作品を原作とし、瀬戸内海の島を舞台に老作家と若い女性編集者との交流を描いたドラマです。平成21年度文化庁芸術祭大賞を受賞しています。主演は原田芳雄さん、共演は尾野真千子さん、岩松了さん、高田聖子さん他。

NHK広島「火の魚」
Wikipedia「火の魚」


とてもとてもいいドラマでした。


舞台を現代に変えているために、ちょっとおかしな部分はあるんです。東京から瀬戸内海の島までわざわざ編集者が原稿を取りにくるとか、ヒロインの言葉遣いが現代人とは思えないとか。

それでも、自分もいずれはこの主人公のような偏屈で孤独な老人になりそうな気がしているためか、主人公の姿に妙に共感しまくってしまったのです (^^;;;

ストーリーも良かったのですが、何と言ってもこの作品は原田芳雄さんと尾野真千子さんの魅力がとても活かされているのがグッド!


原田さんは、先日放送が終了した「不毛地帯」('09) での大門社長役も良かったですが、この作品での老作家役もとてもいい。若い頃は無頼漢だったという設定がピッタリで、老いてもそこはかとなく漂う「男の色気」がいいんです。決して演技そのものが上手いタイプではなく、存在感と雰囲気で見せるタイプの役者さんですが、この独特の「色気」が、この物語を抑制の利いた「極上のラブストーリー」にも思わせてくれるわけです。

また尾野真千子さんも、彼女が本来持っている知的で落ち着いた古風な雰囲気が、現代人としては違和感のあるキャラクターに説得力を与えていて素晴らしいです。他の、いわゆる「イマドキ」の若手女優がこの役を演じても、ただ「時代錯誤な変な女」にしか見えなかったことでしょう。


映像の美しさも含め、一見の価値ある作品です。


お勧め (^^)v