「BUNGO 日本文学シネマ」('10) | Marc のぷーたろー日記

「BUNGO 日本文学シネマ」('10)

日本を代表する文豪の短編小説6篇を若手俳優主演で映像化した作品です。

「BUNGO 日本文学シネマ」公式サイト


いずれの原作もそのまま映像化すれば 30分も持たないくらいの短編。つまり今回の映像化は、原作を脚本家と演出家がどう解釈してどう膨らませるかが肝。ですので、まずは原作を読んでから観るべきだと思います。因みに「富美子の足」以外は青空文庫で無料で読めます。 さて僕は、「富美子の足」だけは読んだことがなく、また今回も読まずに観たのですが、それ以外は改めて原作を読み直してから観てみました。


できあがった映像作品としては、「グッド・バイ」が圧倒的に面白かったです。

ほぼ原作通りのストーリーで特に膨らませた部分はないのですが、とにかく山崎まさよしさんと水川あさみちゃんの 2人が原作のイメージ通りで、しかも見せ方が軽妙で、本当に「面白可笑しく」楽しむことができました (^^)


実は山崎さんの演技は初めて観たのですが、あまりに上手くてビックリ (@o@)

女ったらしのクセに妙に生真面目な雰囲気がよく出ていましたし、軽妙な演技も上手い。セリフ回しにちょっと気になるところがないわけではないですが、そんじょそこらの同年代の専業俳優と比べても全く遜色なし。物語の舞台となっている時代のクラシックな雰囲気にもピッタリで、当時の「遊興人」がこれほどハマる人もいないでしょう。

また、山崎さん本人が担当した音楽も世界観にピッタリで、「BUNGO」全体の主題歌として使われていた、いきものがかりの「真昼の月」があまりに「BUNGO」の世界観とかけ離れたガッカリの楽曲だったので、余計に素晴らしく聴こえました (^^)

「グッド・バイ」は未完のまま太宰が死んでしまった作品なので、この後を膨らませて 1時間半くらいの映画にしても、主演と音楽は是非山崎さんにやって欲しいです (^^)v


さて他の作品ですが、いずれの作品も映像としては映画のような深みと美しさがあって良かったのですが、脚本家や演出家の解釈が僕の趣味とは違っていてイマイチハマれず。「何故?」という配役も多かったですし。

ただ、「魔術」の脚色は「なるほど」と思えましたし、「檸檬」は佐藤隆太くんの陰鬱な演技が良かったです。佐藤隆太くんは熱血青年の役よりも、繊細でおとなしい青年を演じた方が上手いと思います。主演映画の「ガチ☆ボーイ」('08) も良かったですしね。