「大奥」('06) | Marc のぷーたろー日記

「大奥」('06)

大奥 スタンダード・エディション [DVD]/仲間由紀恵,西島秀俊,井川遥
¥3,990
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徳川7代将軍家継の時代に起こったスキャンダル「絵島生島事件」を仲間由紀恵さん、西島秀俊さんで映画化した作品です。共演は井川遥さん、及川光博さん、杉田かおるさん、高島礼子さん他。

Wikipedia「大奥 (映画)」
Wikipedia「絵島生島事件」


完全なフィクションと思えば、これはこれでアリなんでしょうが、史実として知られている話とあまりにかけ離れていてガッカリ。ここまで作り替えてしまうと、もはや「絵島生島事件」を描いたというよりは、それをモチーフに作った完全なフィクションと言っても過言ではないでしょう。

まぁ、「絵島」の名前は正しくは「江島」だと言われているので、これは実際に起こった「江島生島事件」を元に作った「絵島生島事件」を映画化したとでも解釈すればいいのでしょうか (^^;;;


そんなくだらない言葉遊びはともかくとして、やはり観ていて違和感を感じたのは、絵島が若過ぎること。演じる仲間さんの実年齢と近い 28歳(数え年) と設定し、「悲恋物語」として美しく見せるための策であることは分かります。

しかし、周りは遥かに年上の女優ばかりのため、全く貫禄がなく、とても「大奥総取締」には見えません。実際に「絵島生島事件」が起きた時の絵島は 33歳 (満年齢)。当時の感覚で言えば充分な「中年」であり、今の感覚なら 40代半ばくらいのイメージのはず。周りの女優たちとのバランスを考えても、絵島は 40前後の女優が演じなければ説得力がありません。

もちろん本当に 40前後の女優が絵島を演じた上で、それでも尚「純愛ラブストーリー」に見せるのは難しかったでしょうけど (^^;;;

とにかく、そもそも「絵島生島事件」を「美しい悲恋物語」として描こうとしたこと自体に無理がありました。何となくイメージとしてはハーレクインロマンスみたいな内容でしたし。


とは言うものの、この映画は、浅野妙子さんの脚本によるフジテレビの人気ドラマシリーズ「大奥」の集大成となる作品。そのドラマシリーズは、何度も映像化されて来た「大奥」を現代的な感覚で作り直したところがウケた理由。

ですから、「絵島生島事件」を完全に現代的な感覚で若い女性に受け入れやすい「純愛ラブストーリー」に仕上げるのがそもそもの製作意図であるならば、これはこれでいいんでしょう。

恐らく、ドラマシリーズが好きだった方には充分に楽しめる出来なんじゃないかと思います。総額1億をかけたことが話題になった衣装は確かに見応えがありましたし。


でもストーリーをはじめ、出演者にしろ、映像にしろ、ドラマの延長に過ぎず、映画というよりはスペシャルドラマを観ているような感覚で、お金を払ってまでして観るような映画とは思えませんでした。