「鏡の女たち」('03) | Marc のぷーたろー日記

「鏡の女たち」('03)

鏡の女たち [DVD]/岡田茉莉子,田中好子,一色紗英
¥4,935
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広島の原爆を題材に三世代の女たちの姿を描いた吉田喜重監督作品です。主演は岡田茉莉子さん、田中好子さん、一色紗英さん、共演は室田日出男さん、西岡徳馬さん、山本未来さん他



途中まではとても引き込まれました。


観る前は、もっと反戦色の強い、はっきり言ってしまえばお涙頂戴的お説教臭がする映画だと思っていたのですが、独特の張りつめた緊張感の中で展開されるミステリーサスペンスのような雰囲気が僕好みだったことに加え、日本的な色彩感覚で撮られた映像美にも惹かれました。鏡やガラスを使った見せ方も印象的でしたし。


ところが主人公・川瀬愛 (岡田茉莉子さん) が自分の過去を語り始めたあたりから急激に失速。そのままグダグダな展開で最後は (想像の範囲内ではありましたが) 「結局何が言いたいの?」と言いたくなる終わり方。

原爆の扱いも軽く、単なる安っぽいメロドラマの道具に使っただけにしか見えなかったのも不快でしたし、何故わざわざ原爆を題材にしたのか分かりませんでした。

他にも細かいところで言えば、何かと主人公を「善意で」手助けしてくれる郷田 (室田日出男さん) に対する主人公の言動が、言葉遣いは丁寧だけれど、あまりに傲慢で図々しい点も主人公への共感や同情、ストーリーへの没入を妨げる障害になっていました。


緊張感のある雰囲気や映像が僕好みだっただけに残念な作品でした。