「十三人の刺客」('63) | Marc のぷーたろー日記

「十三人の刺客」('63)

十三人の刺客 [DVD]
¥3,743
Amazon.co.jp

片岡千恵蔵さん主演の豪華スター共演による大作時代劇です。共演は里見浩太朗さん、嵐寛寿郎さん、西村晃さん、内田良平さん他。

Wikipedia「十三人の刺客」

三池崇史監督、役所広司さん主演でのリメイクが決まったということもあって、予習がてら観てみました。


面白かったんですけど、娯楽映画としてはちょっとすっきりしない終わり方で空しさが残る内容だったなぁというのが感想。想像していた終わり方と違って意外でした。


幕末の喧噪の直前、平安な時代に、武士とは言っても実際に人を斬ったことなどないような武士たちが「武士の大義」のために戦うというのは「忠臣蔵」を思わせます。

また当時の人気スターを集めた豪華なキャスティングによる画面の華やかさ、時代劇史上最長と言われる 30分にも渡る殺陣シーンは (今となっては若干冗長で退屈ですが) なかなかの迫力。

でもストーリーには無理があり過ぎます (^^;;;

クライマックスの長時間の殺陣シーン + 豪華キャストを撮るためだけに、それに合わせて無理矢理ストーリーを作った感じがアリアリ。だってバカ殿の暗殺だったら、密偵を送り込んで毒殺するとか、いくらでも他に方法はあるはずなのに、わずか 13人で斬りかかるなんてリスクが高過ぎます。しかも宿場にあんな大掛かりな仕掛けを作って待ち受けるなんて現実的にはあり得ないでしょう (^^;;;

そのあたりのリアリティのなさには最後まで違和感が拭えませんでした。


そんな感じでストーリーには不満がありましたが、豪華な役者陣はやはりとても魅力的でした。

片岡千恵蔵さんと嵐寛寿郎さんの重厚感、里見浩太朗さんの美剣士ぶり、出番は少なかったですが山城新伍さんの愛嬌のある少年ぶりは可愛らしい。西村晃さんの不気味さを併せ持ったシャープな感じもいい。


でも実は主人公側である十三人の刺客よりも敵方の方が印象深いんです (^^;;;

まず最大の悪役である「バカ殿」明石藩主・松平斉韶を演じた菅貫太郎さんが素晴らしい!!

僕にとって時代劇の悪役と言えば「菅貫太郎」というくらい印象深い役者さん。この映画の撮影当時はまだ 29歳ですが、後の「悪役スター」として貫禄は既に充分。本当に憎ったらしい悪役ぶりでした (^^)

そしてこの映画で最も印象深かったのは明石藩の「参謀」である鬼頭半兵衛を演じた内田良平さん。とにかくこの役は「美味しい」。悪役と言えば悪役なんだけれど、バカ殿の愚かさに憤りを感じつつも、家臣として尽くし、主人公たち刺客から守ろうとする姿には、哀れさと切なさを感じます。正直な感想を言うと、主人公たちよりも半兵衛を応援したくなるくらいでした。しかもその半兵衛を内田さんが説得力のある演技で演じたからこそ、単なる勧善懲悪の娯楽時代劇ではなく、観終わった後に「空しさ」や「寂寥感」を残すことが出来たんだと思います。


さて、来年公開される三池監督によるリメイク。刺客 13人については既に発表されていますが、キャストの顔ぶれと公開された写真を見る限り、キャラクターは随分と変更されるのかなという印象を受けました。

まずメインの 3人

島田新左衛門:片岡千恵蔵 → 役所広司
島田新六郎 :里見浩太朗 → 山田孝之
倉永左平次 :嵐寛寿郎  → 松方弘樹


この中でオリジナルに近いと言えるのは松方さんだけだと思います。松方さんだとちょっと「任侠」臭がしちゃいますが (^^;;;

役所さんは片岡さんよりも実年齢も若いし、見た目が遥かに若々しい。恐らくオリジナルよりアクションが増えるんじゃないかと思います。片岡さんは最後の最後に殺陣シーンがあるだけで、ほとんどアクションらしいアクションはありませんでしたから。

一番違うのは山田くん。里見さんは絵に描いたような美剣士ぶりで、刺客になる前は芸者のヒモをやってるような優男。でも公開された山田くんの写真はかなり骨太な「野武士」というイメージなのでオリジナルの新六郎とはかなり違ったキャラクターになりそう。

他のキャストで分かっている範囲では

平山九十郎:西村晃   → 伊原剛志
佐原平蔵 :島道太郎  → 古田新太
小倉庄次郎:沢村精四郎 → 窪田正孝
木賀小弥太:山城新伍  → 伊勢谷友介


かな…。後の刺客はオリジナルではほとんどエキストラ同然だったんで印象に残ってないです (^^;;;

この↑顔ぶれを見る限りでは、小弥太のキャラクターがオリジナルよりかなり大きくなりそうな感じです。

報道によれば、オリジナルとは設定を少し変えるそうなので、どういうアレンジがされるのか、それを楽しみにしたいと思います (^^)v

とにかく当たり外れの多い三池監督。「今回はオーソドックスに行く」とおっしゃっているので期待していいのかなと思いつつ、どうしても拭えない不安感 (^^;;;